980915


三池炭鉱閉山から1年半

「町はどげんなるとやろうか」

声をあげるべき時がきた

福岡県大牟田市 主婦 木下 途子


 私は昨年三月末に三池炭鉱が閉山になった、大牟田市に住む主婦です。

 最近の大牟田には明るいニュースはほとんどなく、暗いニュースばかりです。毎日のように、「あそこの店は夜逃げしたんだって」とか、「あそこの給食センターもつぶれて従業員だけで弁当をつくっているらしいよ」などの会話がかわされています。そして最後には決まって、「大牟田はどげんなるとやろかね(どうなるのだろう)」で締めくくられるのです。

 町を歩いていても、「貸店舗」の文字だけがやたらとめだち、さみしく暗い気持ちにさせられます。

 「ポスト石炭」で鳴りもの入りでつくられた観光レジャー施設も二十億円を超える累積赤字を抱えています。市の予算から赤字解消にと、どんどんお金がつぎこまれているのが現状です。

 また、行政は新たにゴミを燃やして発電し、その電力を売る会社を設立する計画を立てています。しかしその中身たるやお粗末なもので、また新たな借金を大牟田市は抱え込むことになりそうです。

 高齢者が多いので、静かな住宅街として再生すればよいと思うのですが、産業廃棄物が大量に持ちこまれ、ダイオキシンがばらまかれ、住民が苦しむことが目に見えているような計画を、市長が考えているのですから…。ゴミを運ぶトラックが市の中心部を走りまわることを考えただけでもゾッとします。

 炭鉱社宅が次々と取り壊され、その住人たちは移転をよぎなくされ、子供たちは新しい学校へと転校させられています。今まで安い社水を利用していた人たちは、家賃の増加に加え、水道料金、電気代など家計への圧迫は、収入減もあり、相当なものがあるのではないかと思います。

 炭鉱離職者の人たちの再就職も、この不況のさなか、思うようにいってないようです。職業安定所(ハローワーク)に行ってみると、年配の人、若い人もふくめて毎日たくさんの人が訪れていて、こんなに職を求めている人たちがいるのかと驚かされます。炭鉱関連の小さな下請けの人たちは退職手当などもちろんないのでしょうから、どんなふうに日々を過ごしているのだろうかと心配します。

 本当に身近な人びとが、借金やら何やらで首つり自殺したという話を聞くにつけ、退職金九億円ももらったなどという話に、無性に腹がたちます。私たちがもっと声をあげるべき時が来たのかもしれません。


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