980905


問われる精神医療のあり方

「牧畜医療」は許さない

患者の人権守る看護を

看護士 永井 一郎


 全国の皆さん、お元気ですか。私は精神病院の看護士として、この職場で働きはじめて久しくなります。

 このたび病院長の交替があり、病院の経営も新たな方針のもとで進められようとしています。病院側としては、これからの激しい競争の中で生き残っていくために、ソフト面、ハード面での充実を図ることに必死になっているようです。

 病院の改築が急速に進められています。病院長は病棟そのものの建て替えも考えているようですが、財政上の問題もあり、なかなか思うようにはいかないようです。

 また、保険収入でのアップを図るために、基準看護のランクアップをめざしたスタッフの増員なども行われようとしています。

 そうした中で、経営方針として新しい精神科医療に取り組むことになりました。ですが、開院から三十年を経る中で、精神科医療の古い体質を引きずっており、患者の人権を守るという基本理念が失われている中での改善は容易ではありません。

 かつての日本医師会の武見会長が「精神科は牧畜医療だ」と言っていましたが、隔離収容的な体質は温存されたままなのです。病院の現場のスタッフたちも、こうした経営体質に慣らされて働き続けてきています。現場の意識改革が容易でないのが現実です。病院の経営方針もさることながら、「精神科医療の人権とは何か」、この問題こそ解決されなければなりません。

 私自身は一組合員として、この職場で働いているのですが、今回の新たな経営方針を機に、「精神科医療のあり方」を全力で追求していきたいと思っています。そのこととあわせて、労働組合としても賃金面や労働条件の改善でもがんばっていきたいと思います。全国の皆さん、ともにがんばりましょう。


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