980725


来るべきものがついにきた

つぎは給料カットか

販売会社営業 上原 茂樹


 夏のボーナスが出なかった。昨年の暮れのボーナスは、以前とは比べようもなく少なかったが、なんとか出た。その時に社長から、このままの売り上げだと、夏は絶望的だと言い渡されていたから、来るべきものが来たという気分だ。

 バブルがはじけてから、もうずいぶん時間がたったが、今年に入ってからの不況は、とくに厳しい気がする。とにかく物が動かないのだ。

 メーカーからいろいろな資材を仕入れて工場などに販売している会社なので、物が動かない(つまり売れない)のはつらい。

 納入先の工場からは不景気だからという理由で、仕入れ価格の値下げを迫られてくる。メーカーが、それに応じて価格を下げてくれれば、話はまとまるのだが、メーカーも苦しんでいる。そう簡単に値下げなんかできるはずもない。

 仕入れ単価の一律二〇%ダウンを求めてきた工場もある。まともに考えたらできるはずがない。しかし、無理をしてでもそれを実現させようとする別の会社も出てくる。無理をしてでも、ここで取り入ってやろうと思うのだ。赤字覚悟で値段を下げる業者も出てくる。

 赤字覚悟はけっして捨て身ではない。無理して残った業者は、あきらめて離脱した業者の分の仕事をとることができるという期待があるのだ。

 そんなことは誰もがわかっているが、それをできる会社と、できない会社がある。規模もあるが、手持ち資金や銀行との関係など、企業の体力みたいなものだ。少しでも体力のある会社が生き残り、残った会社はどんどん体力をつけて強くなっていく。

 夏のボーナスが出なかった会社は、冬のボーナスも期待できそうにない。このままいくと毎月の給料にも影響がでるのは時間の問題かもしれない。

 社員のみんなが、そんな不安を感じ始めている。そうなると社内の雰囲気はどんどん悪くなっていく。景気が右肩上がりだった時には、気にもとめなかったようなことを、大問題として大騒ぎする人も出てくる。

 体力のなさがどこからきているのかを、敵が誰なのかを知らないから、もっと努力をすればなんとかなると思うのかもしれない。だが、努力と根性だけではどうにもならないのだ。


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