980715


怒りの季節がやってきた

役員に月80万円払うのに…

今年もボーナスが出ない

竹田 梨花印刷工場労働者 佐野 武


 怒りに燃える季節がまたやって来た。二年前も、一年前もそうだった。それはボーナスがまったくなかったことだ。今年もまず期待できないだろう。当然にも昇給などありもしなかった。職場はあきらめと不満がまん延し、みんなどこに怒りをぶつけていいのか分からないような状態だ。

 そもそも、現社長が就任したのが二年前で、彼は前社長の弟だ。グループ企業を形成していたが、不況で一社が倒れて解消。独立企業となったが、なかなか収益が上がらない。その要因の最大の理由は社長の手腕のなさにあるが、この間にリストラもやられ、多くの仲間が職場を去った。

 それなのに、前社長と社長の奥さんを社員として雇っている。なんと矛盾したことか。ウワサでは、会社が倒産したら家族経営でやろうと今から準備しているという話である。

 振り返れば昨年のボーナスの時期、全社員参加の会議があった。そのときの俺と社長との会話の一コマはこうだった。社長はこの一年あまりの経営実態を書いた数字を見せながら……

 社長「収益が上がらず、毎月毎月が赤字だ。とてもボーナスなど出せない」

 俺「役員手当に毎月八十万円も出している。名前だけの顧問手当に二十万円も支出している。これを削れば十分ボーナスを出せるのではないか。社長は私の五倍もの手当をもらっているではないか」

 社長「それについては株主総会で決定しなければならない。いまからもっとがんばって今度はボーナスを出すようにしたい」

 俺「従業員あっての会社だろう。もっと誠意を見せろ!」

 この会話から一年。今年もボーナスを期待できない経営が続いている。商業新聞では倒産や失業の文字を目にする。俺の住んでいる地域でも、そういう実際を目にしている。

 商業新聞の投稿にこういうものがあった。

 「民間企業で赤字だったらボーナスはゼロ。でも国会議員はいつでも数百万円もボーナスが支給される。不況で大変というのであれば、自らの報酬を吐き出して不況対策にでも使ったらどうか」と。

 国政選挙がやられたが、本当に労働者の声を代弁する政党があっただろうか。国民うけする文字を並べるのではなく、肝心なのはその中身だ。銀行救済に使った三十兆円もの金を、困っている中小企業などに使えば、夏のボーナスがでるかもしれないと夢みる労働者は少なくないと思う。

 これが怒りに燃える季節の実態だ。


Copyright(C) The Workers' Press 1996, 1997,1998