980625


体だけが財産です

働くための生活習慣――健康ですか?

大山 貴司


 高齢社会を考える公開学習会なるものに行ってきた。やっぱりというか、予想通りというか、介護保険は本当に大変なものらしい。聞くところによると、非課税世帯も保険料を払わねばならず(所得が低いから非課税なのに、これじゃあ本末転倒)、その上、受けたサービスの内容によってはさらにお金を払うらしい。一人暮らしの私にとって、老後は深刻な問題。機会あるごとにこのような集会、学習会に出てきていたが、もうここまできてしまったのかと改めて思う。

 でも元気になれたのはその後の「健康日本」の話。何でも介護保険と同じ時期に厚生省からおりてくるらしいのだが、要するに、生活習慣や健康づくりに国をあげて取り組むといったことらしい。あの厚生省がねえーと話を聞いていると、講師の先生の話がおもしろかった。

 「何歳まで生きたいですか」「何の病気で死にたいですか」「寝たきりの人がどのくらいあなたのまわりにいますか」など、ふだんあまり考えないことに触れながら、この「健康日本」の考え方を説明してくれた。

 「平均寿命までは生きましょう」「がん、脳卒中、心臓病、いずれも発症を遅くすることができます」「六十歳以上の一〇%(寝たきりの人)にならないようにしましょう。できます」などなど。

 また、ボランティア活動をしている人たちも何人か来ていて、「定年退職してから食事に気をつけるようになって、これだけ血圧が下がった」「月に何度か近所の人たちと集まって運動を始めて、気持ちも明るくなった」などの報告もありました。

 自分の生活を振り返ってみると、通勤は自転車と電車、帰りに深夜営業のスーパーで買い物をする毎日。健康という言葉は知っていても、関心はあってもあまり縁がない。「冷や汗や脂汗はかいても、本当に汗をかいたのは何年前だったろう」などと考えてしまう。

 体だけが財産の労働者を、少しずつ生活習慣という不健康がむしばんでいく。目に見える搾取と目に見えない搾取。防げない搾取と防げる搾取。もうこれ以上搾取させないぞ。

 冷や奴がうまい季節。今日は歩いて買い物に行く。スーパーではなく、豆腐屋さんで買うために。


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