980615


水源地に産廃施設!
自分の力で守るしかない

住民が抗議の座り込み

長崎市 和田 信男


 ダイオキシンなどで日本列島全体が環境破壊に揺れています。そんななかで、私たちの長崎県や長崎市においても産業廃棄物施設がダムの上流や導水管など、市民の飲み水の隣接する区域に計画されています。

 市民の水がめを守るはずの県や市が市民に敵対するような行政を行っているのです。

 長崎市では、すでに昨年、産廃施設がある松崎町の三方山流域で高濃度の水銀が検出され、なんと水道局がそのデータを改ざんしていたのです!

 それにもかかわらず県の方は、長崎市民の飲料水の水源地である神浦ダムの上流に産業廃棄物処理施設を第三セクター方式で計画。

 さらに長崎市はこの神浦ダムと浄水場を結ぶための導水管が通っている三重地区に産業廃棄物の処分場建設を民間業者に許可したのです。

 市が業者に許可を出した四月三十日、地元の自治会や「三重地区の自然・環境を守る会」の住民たちはいたたまれず市役所に押しかけました。そして、「予定地区に導水管があるうえ、計画には不透明な部分が多い」と公開質問状を突きつけ、抗議の座り込みを続けました。

 事実、長崎市は、昨年六月県からの指示で、先にこの業者が予定していた産廃施設用地を三年前に契約していた一億千万円から、それの二倍の二億七百万円というだれが聞いても驚くような土地価格で買収していたことが明らかになりました。そして、住民に説明される前から、実際上この業者に対して現在の予定地への許可がされているのです。

 市民の水や生命を守るはずの市や県が、それと反対のことをするならば、自分たちの力で守るしか方法がありません。地元住民たちは、街頭署名など広く市民に訴え、六月市議会への反対請願提出に向けてがんばっています。

 一方、水銀汚染が明るみになった三方山の汚染問題では、すでに市民委員会が設置されています。また、ここの産廃施設の撤退やダイオキシンの検査などを要求して、市民運動が強まっています。

 こうした運動とも連携しながら、地元住民は計画を断念させるまで運動を続けていこうと決意を新たにしています。


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