980515


例年にないきびしい春闘

地方も不況の真っただなか

自動車部品工場労働者 野口 俊一


 田植えも終わり、また大いに不満が残る賃上げ交渉でしたが、連休前に妥結できてホット一息ついているところです。

 だが、まだ多くの支部、分会では賃上げ闘争を継続中です。むしろ妥結したほうが少ないくらいです。例年にないきびしい春闘でした。

 それというのも大手組合が、昨年より大幅マイナスで早々に妥結しているからです。中小の組合はただでさえハンディが大きいのに、こういうときは並大抵のことでは前年度を上回ることはできません。

 先日の朝礼では、ベンツとクライスラーの合併が話題になりました。というのも私の働いている会社は、自動車関連の中小下請けだからです。自動車業界は今後ますます競争がはげしくなり、世界の十大メーカーしか生き残れないとのことです。

 当社が仕事をもらっている会社は業界大手のメーカーですが、必死になって生き残りのための戦略をねっているので心配にはおよばないとのこと。

 団体交渉でも今年度の自動車の生産量が話題となり、昨年より二〇%マイナス。原因はやはり昨年の消費税アップが大きいと分析していました。

 会社設立以来十余年、二〜三カ月も残業がまったくないというのは初めての経験でした。兼業農家の私には、土、日に田植えの準備ができて、好都合な一面もありましたが。

 とはいうものの、六〜七月は生産能力以上の受注量があり、関連会社に割り振っているとのことです。そして、生産方式をあたらめるための設備投資と人材募集をしています。

 受注量が二〇%マイナスにもかかわらず、当社は操短もせず、夏に向けてフル操業体制に入りつつあります。

 それにくらべ、田植えの手伝いにきていた弟の会社は、仕事がなく毎日草むしり。五月からは毎週金、土、日の三連休だとぼやいていました。繊維機械の製造会社で、国内でもトップクラスの会社です。

 世の不況は私の近所まで押し寄せてきています。

 隣のおじさんは、仕事がないから来なくていいと言われ、職安に仕事を探しに行ったとか。また、その隣では、仕事はあるけど日本人は辞めマレーシア人だけが残り、労務倒産したとか。

 隣町の縫製会社が倒産して、七十余人が失業。まさに働く者にとっては苦難の時代に入っています。

 職場はもちろんのこと、地域の労働者がおかれている状況にも目を向けて、対処していかなければと考えています。 


Copyright(C) The Workers' Press 1996, 1997,1998