980425


つなぐ

沢 路絵


テーブルいっぱいに並べられた料理の数々

宴の後にもなお

食べきれぬ品々を残して席を立つ

今だ地上の三分の二は飢えている

なのに これはどうしたことか

もはや飽食などではない

生きて命あったものへの冒涜(ぼうとく)ではないか

必死で叫んでも 声にはならぬむなしさ

あらがうことのできぬ現実

幼い頃の食卓は一粒の米さえも残さなかった

すべての食べ物は大切に扱われた

肉も魚も野菜も米もすべて

ただ一回限りの出会い

死から生へとつなぐ命の輪

口に入れれば新しい命の芽生え……

やはり  私は捜しに行かねばならない

途切れてしまった最後の輪の行方を

そうして飢えた人びとの手に どうしても

つなげなければならないと思うのだ


Copyright(C) The Workers' Press 1996, 1997,1998