980215


98春闘 感情と理論で闘う

コスト削減、労働者に犠牲

自動車工場労働者  村山 郁生


 私は自動車関連の会社で働いており、労働組合の役員もしています。

 世の中不況で大変ですが、私の会社は輸出向け自動車の部品をつくっているので忙しい毎日を送っています。また三月決算をひかえていることもあり、毎日二時間ぐらいの残業があります。自動車はどこもそうだと思いますが、残業は毎日二時間ぐらいないと、まともな生活費が稼げません。休日出勤も、月に二〜三回あります。

 そして数年前からスリム化ということで、正社員はかなり減っています。そのため忙しい今は、パートや期間工、社外工などがずいぶん増えています。去年に比べてもパート、期間工などは五、六十人増えています。一方、正社員は仕事がきつくてすぐ辞める人も多くて三十人ぐらいは減っています。

 また親会社からはいろいろなしわ寄せがきており、会社も大変です。会社側は、「昨年少し黒字が出たから、やっとコストダウンを受け入れられるようになった。これで新しい仕事が来るかも」と言っています。仕事は来るかもしれないが、コストダウンで利益の何パーセントかをもっていかれてしまうので大変です。

 また会社側は、今年は親会社から「高品質企業」に指定されようと必死になっています。「高品質」に指定されるのはそれほど難しくはありませんが、コストダウン要求のもとでは高い品質を維持するのが大変です。結局、現場で働く者にしわ寄せが行われ、一人でいくつもの仕事をしなくてはならなくなるのでは、と感じています。しかしこれに指定されないと、仕事量は増えません…。

 親会社は合理化を推進するために「高品質」に指定された会社以外には仕事を出さなくなってきており、うちより小さな会社では何社も仕事がなくなり、倒産するところが増えています。地元の新聞には、最近はそういう記事が目立つようになっており、どこの下請会社もヒヤヒヤしていると思います。

 さて春闘の準備が、今日から始まりました。代議員会で職場討議の資料説明を行いました。明後日から職場におろして討議に入ります。今年の特徴は、自動車業界が個別賃金制度に移行する年なので、組合では個別賃金と標準賃金の両方で会社に迫っていくことになります。

 また一時金、労働時間の短縮などもあわせて要求していきます。労働時間の短縮では一日の短縮を要求しています。自動車業界では時短は遅れており、二〇〇〇年までに千八百時間という目標があります。しかし、親会社で進展しないと子会社では進められません。

 職場の雰囲気は「賃金は上がって当然だ。今まで賃上げをがまんして会社に協力してきたのだから」という声が多くあります。

 組合としては、要求をいかに執行部と職場が一体となって盛り上げていくかということと、きちんとしたデータをそろえて、根拠のある要求にし、理論的かつ感情的に迫ってみようかなと思っています。

 いずれにしても、今年の春闘はやれそうだと感じています。今度は勝ったという記事を送れるようにがんばりたいと思っているところです。


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