971025


 突然、危険な「繰り上げ勤務」

 何とか歯止めをかけねば

 田村 誠人(JR労働者)


 私は、JRの工場に働いています。ご存じのようにJR職場では相変わらず、会社による不当労働行為、国鉄労働組合敵視が続いています。先日も職場で「個人面談」が行われましたが、管理職は「(国労が)ウソのビラをまいているが、どう思うか」「組合をかわってほしい」などと労働者に圧力を加え、干渉を繰り返しています。
 国労のビラは、争議の早期解決を求める、安全な仕事を行うために不当労働行為のない職場環境を求める、というごく当たり前のビラです。国労は当然ながら、こうした不当な行為に反撃のビラをまいています。
 さて、そうこうしているなかで繰り上げ勤務が行われました。繰り上げ勤務とは、夜から朝まで勤務し、そしてその日の夜から翌朝まで勤務するというものでした。私の工場でもいくつかの職場で繰り上げ勤務が行われました。
 なぜ、こうした勤務が行われたのかというと、新型車両のモーターが故障したので、モーターをはずして新しいモーターに取り換え、朝の営業に間に合わせるためです。新型車両を工場に入場させて、各車両の縁(ふち)、台車との縁を切り、仮台車の上に置いて台車場に入れます。モーターをはずして修理し、またもとのように組み込み、最終的には朝の営業に間に合わせるという作業です。
 私なりに新しい勤務体制について、問題点をまとめてみました。一つには、現場の労働者からすればなぜ急にこのような勤務が発生したのか分かりません。モーターの故障は数カ月前から分かっていたそうです。それも朝の営業に間に合わせなければならない。電車区の人と共同作業するなかで、しかも夜ということもあり、慣れない勤務のなかで多くの危険が伴っています。計画に問題がなかったのか、労働者の安全は守られているのか、という問題です。
 二つめは、やはり当たり前かもしれませんが、人間の体は夜勤するようになっていません。ましてや本人だけではなく家族も夜勤に合わせなければいけません。夜勤から帰ってきた日は、朝飯を食べ横になっていたら子どもが帰ってきました。昼飯を食べたら妻に「お父さん寝ているから外で遊びな」と言われていました。子どもは子どもで「何でお父さんいるの?」と言っていました。こんな具合です。
 少しばかりの手当がついても、体調は崩れるし、決していいものではない。ある管理者が言っていました「この二日間寝るときがない」と。夜勤のうえに昼は仕事があり、帰れないらしいのです。こんなところから過労死が起こるのかなと思いました。別の職場では、昼勤務をしてその夜から繰り上げ勤務をしたそうです。つらかったと思います。本当に会社は労働者の体を何とも思っていないのです。
 最後に、仕事が詰まってきたら繰り上げ勤務じゃたまらない、何とか歯止めをかけねば! 


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