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労働新聞 2022年3月15日号 6面・通信・投稿

道産子もビックリの大雪

民営化・行革のツケ、雪害は人災

北海道・南風 望

 冬の北海道の寒さは尋常ではない。北海道の人間は「今日の気温は何度?」「三度くらいでないかい?」(零下三度の意。いちいち「零下」とは言わない)。朝晩は二ケタまで下がる。
 それでも、今年の大雪には驚いた。一月に一回、二月に二回。一度に五十センチぐらい積もった。玄関から道路までの道づくりのため、朝からの雪かきに四〜五時間もかかった。例年の一・五倍の雪は年寄りにはきつい。それ以外にも日常的に二十センチぐらいは当たり前に降り積もる。隣家は無人のせいか三角屋根からの雪は地面とくっついた(高さ三メートルぐらい)。わが家の屋根の雪は一メートルもあり、後ろの家の物置を見事に破壊した(弁償だ…めまい)。

JRがマヒした3日間
 この大雪は全国ニュースにもなったのではないか。札幌圏の交通マヒは三日間にも及び、通勤列車はもとより特急列車は連日の運休だった。特に本州との交通基幹である千歳空港への列車は完全にストップし、代替ともいえるシャトルバスは平常時一時間半のところが五時間もかかった。それも乗れたら幸運で、千歳空港で足止めをくらい、冷たい床に泊まった人が何百人といたらしい。高速道路も閉鎖され、乗用車もほとんど進まなかったと聞いている。
 この混乱の原因はJRの保安要員の不足である。JRも保線のための「アルバイトが集まらなかった」と認めている。集まるわけがない。交通手段がないのだから。  国鉄時代はもっと雪が降ってもこれほどの混乱はなかったように思う。列車を動かすことは鉄道マンのプライドであった。民営化により保安要員が減らされたと聞いている。JR北海道による「人災」と言わざるを。国労つぶしの政策のツケが国民生活の基盤を奪っているのだ。民営化にあたって、当時の中曽根首相は「赤字路線の廃止はしない」と言った。「一人も路頭に迷わせない」とも言った。しかし結果は違った。私の周りでも多くの人が仕事を奪われ、自死に追い込まれた人もいた。後年あいつは衆議院立候補のはしごを外された。ザマーミロ。

高齢化でますます深刻に
 もう一つ、交通インフラの混乱を招いて原因は除雪重機のオペレーターの高齢化と人手不足である。仕事はキツイ。なにせ夜中が主戦場だから。三〜四年後にはもっと大変なことになると町内会から言われている。
 メインストリートでバスはすれ違うことができない。通勤バスはいつ来るかわからない。もしかしたら来ないかもしれないなか、ジーッと待たなければならない。主要道路でさえこの状態だから、住宅地の除雪など後回しである。一晩で五十センチも積もれば除雪車が入るのは二、三日後だ。その間、自家用車を出すことはいっさいできない。車を出しても雪道でスタック(タイヤが埋まる)して行動不能となる。今年は初めてJAFの助けを借りた。それも二回も。私の車の二月の走行距離はわずかに八十四キロ。例年だと月に一千キロは走るのに…。
 公共機関の人減らしのしわ寄せが、ちょっとしたアクシデントで露見されるようになっていると思う。コロナ禍を悪化させた保健所の人員削減しかりだ。政府に「想定外」などと言わせてはならない。大阪府の吉村知事は連日のようにテレビに出ているが、コロナでの死者は人口比では大阪がいちばん多い。「まじめに仕事をしろ」と腹が立つ。これらを「人災」と言わずして何というのか。

地方・高齢者切り捨てさらに
 例年、十二月から二月の毎月の灯油代は二万円ほどである。ストーブは十月下旬から四月中旬まで燃やす。  今年一月の灯油代は三万円にもなった。年金が毎年少しづつ減らされている上、現職の時にあった「寒冷地手当」はもらえない。ストーブをたかないことはあり得ない。
 一人住まいの年金生活者は日中、陽が差せば自宅のストーブを消し、図書館や公民館、またはスーパーに出かけて灯油代を節約する。ささやかな生活防衛策である。だがここまでさせる政治の責任はどうなのか。
 北海道に限らないだろうが、地方居住者は車がないと買い物もできない。道路が開かないと生活は困窮する。「平成の大合併」で広域自治体が増えた。地方交付税交付金は減り、ギリギリの自治体運営でアクシデントがあると対応できない。都会に住む人には分かるまい。切り捨てられた地方で、特に年寄りは切り捨てられているのだ。

閑話休題
 北海道の都市部には、大きな「雪捨て場」がある。さてその高さはどのくらいか。例年、三十メートルにもなる。すそ野は広く、十階建てのビルに相当する雪山が、札幌市内だけで何カ所もある。二十カ所か、もっとか。私の住む人口十一万人の地方都市でさえ五カ所もある。それがもう満杯だそうだ。その雪は六月まで溶けない。


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