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労働新聞 2021年5月15日号 8面・通信・投稿

仕事掛け持ちで皆ヘトヘト

人民が主体の社会実現を

食品スーパー勤務・鈴木 高志

 「労働新聞」読者の皆さん、こんにちは。私は現在、食品スーパーでパート労働者として勤務し、五年になります。仕事は、納品された食料品を売場に補充する作業、在庫としてバックヤード(倉庫)にストックされている商品を台車で売場に運び補充する作業、これらが主な内容になります。
 勤務先の店舗は約五百坪。九時開店・二十四時閉店で、正社員は店長と副店長、青果・海鮮・精肉の各主任(部門責任者)と、サブ主任の八人のみ。他のスタッフは、会社の社会保険料負担のない三〜四時間契約の非正規雇用のパート・アルバイト七十人が四交代制で運営しています。
 レジ部門は正社員をなくし、ベテランパートに手当を付けて「主任」とし、弁当や揚げ物の総菜の発注・商品製造、販売計画、勤怠管理など、正規雇用社員と同様の仕事を受け持っています。私が入社した五年前と比べて、青果一人、総菜一人、レジ一人の社員が削減されており、近い将来、青果・精肉部門もさらに正社員をパートに置き換えて人件費削減をする方向のようです。
 三年前から新たに入社した生鮮部門のパートにはレジ研修を義務付け、レジが混雑したら店内放送で名前を呼び出しすぐにレジ応援する体制で、またチェッカー(レジ担当者)もお客さんが少ない時は売り場の商品補充作業に出され、レジが混んでくるとレジ主任がチャイムを鳴らし、すぐにレジに戻る体制になっています。われわれ食品部スタッフも、ベテランはレジ研修をやらされ、チャイムがなればレジに飛んで行きます。店全体の人員を削減し、その不足分はどの部門のスタッフも複数の仕事をこなせる体制で乗り切る…これを会社は「働き方改革」といっていますが、われわれは「こき使い改悪」だと言っています。
 私は週五日、十六時から閉店の二十四時まで休憩六十分を含んだ七時間勤務で、出勤後はすぐに二階屋上に納入されている商品が積載された六輪台車二十五台ほどを、スタッフ全員で次々と荷物用エレベーターに積み込み、一階食品売り場に移動させ、手分けして全員で品出しに取り掛かります。
 いっしょに働く食品部のメンバーは十二人で、男性五人、女性七人、常時七人前後の勤務体制です。社会人スタッフは、家のローンを返済する、リストラされて生活費を確保する、子どもの学費・進学費用を確保する、などが主な目的で、学生は学費・資格取得費の確保や家賃など生活費確保なとのために働いています。
 社会人は皆、仕事をダブル・トリプルで掛け持ちしています。
 Aさん(五十歳代男性)は、自営の理容店では生活が成り立たずに廃業し、早朝五時から八時まで「宅急便」の配送センターで荷物の仕分けと積み込みの力仕事を行い、帰宅して朝食を取り、十時から十四時まではコンビニで働き、昼食後に仮眠し、十八時から二十四時までスーパーの品出し作業を行う毎日で、働き詰めで疲れ切っています。
 Bさん(四十歳代女性)はシングルマザーで、中学生と高校生の二人の子どもを抱えています。朝八時から十七時まで食品の物流センターで商品のピッキング作業(伝票に基づく箱詰め)を行い、十八時から二十四時まで当スーパーで勤務しているが、この女性も気の毒なぐらい疲弊しています。
 Cさん(四十歳代男性)は、本業で残業がなくなったため、家のローン返済や子どもの学費などを稼ぐために十八時から二十四時まで働いています。彼の妻も昼間は別のスーパーで八時間勤務した後、二十二時から通販のコールセンターで勤務しているそうです。彼の十八歳の息子は、入学以来一度も大学に行っておらずリモート授業だが通常の学費が徴収されていて腹が立つと言っています。その息子も、親が仕事で大変だからと、自分でアパート代と食費を稼がなくてはとがんばっているそうです。
 誰もが生きていくために、家族を守るために、身を削るようにヘトヘトになりながら働いているこの社会。ひと握りの資本家がぜいたくをきわめる一方で、大多数の働く人びとが日々の生活に困窮するような末期的な資本主義社会を打ち倒し、人民が主体の社会主義社会が求められている時代の到来を感じています。


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