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労働新聞 2021年3月25日号 8面・通信・投稿

コロナ便乗の淘汰に怒り

私の職場と地域の状況

福岡県・井上 義和

 二〇二一年も三カ月が過ぎようとしています。振り返ってみると、日本国内でコロナ禍が深刻になってきたのが昨年三月。既に一年が過ぎたことになります。

今年になり影響大きく
 私は地方都市に住み、営業倉庫で事務員として働いています。親会社は主に繊維を扱う会社です。親会社は、昨年マスクが不足している時期は繊維生地を利用した洗えるマスクを作り利益を上げましたが、今年はマスクが普及して売れなくなっています。親会社も今年は赤字に転落し、先行きが見えない状況です。
 私の働いている倉庫は、近隣の工場の商品を保管しています。昨年は新型コロナウイルス感染症の影響はほとんどなかったのですが、今年になり徐々にその影響が出るようになっています。近隣の工場が操業を縮小するようになったからです。
 コロナ禍で物流の動きも落ちてきているようです。昨年は倉庫が満床に近い状態でしたが、今年は倉庫の空きスペースが目立つようになっています。聞いたところでは近隣の営業倉庫はどこも同じ状況とのことです。近隣の工場では、倉庫にものを預けると倉庫料を払わなければならないため、少しでも出費を減らすべく工場の中に製造した商品を置いているようです。
 大都市圏の大企業の営業倉庫は通販や巣ごもり需要で潤い利益を上げていますが、地方の倉庫はそのような状況ではありません。昨年は少しではありますが私の給与も改善しましたが、今年は望めそうにありません。

大都市集中と地方疲弊
 また、今回のコロナ禍での地方の疲弊にふれたいと思います。元より地方都市は今回のコロナ禍の前から人口減と中心市街地の空洞化が進んでいましたが、今回のコロナ禍によりそれが一気に進んだ気がします。
 私の周囲でみると、最も顕著に感じたのは公共交通機関です。住まいの近くにバス停があるのですが、このところバスが停まっているのをあまり見かけなくなったので、バス停の発車時刻を見てみると、以前は三十分に一本はバスに乗れたのに、今は一〜二時間に一本しか乗れなくなっています。再編という名目でバスの運転が減らされ、バス路線も減らされています。バスが走らなくなった路線もあります。病院や買い物に行くのに利用しているお年寄りも大勢いるのに、むげにバスの運行を減らしています。
 鉄道も同じような状況です。以前は普通・快速が昼間の時間帯に一時間四本(上下八本)走っていて、地域の中心都市まで直通で行けたのに、今は三十分に一本、編成両数も減り、地域の中心都市へ行くのに、途中駅で乗り換えるという不便な運転となっています。三十分に一本の電車のうち一本は快速で、快速の停まらない駅は一時間に一本しか電車に乗れなくなっています。駅の窓口も特急や快速の停まる駅でも昼間無人の時間帯ができています。駅の中にあった売店(コンビニや立売式売店)もいつの間にか閉店しています。以前から交通機関の運転本数が減ったり駅構内の店舗が減るという状況は見られましたが、ここにきて、コロナ禍を理由として一気に進んだ感じがします。
 街の中では、金融機関の店舗もいつの間にかなくなったり、規模が小さくなったり、ATMが減らされたり、稼働時間が短くなったりしています。近くのショッピングセンターに入居している店舗も立ち退いて空きスペースが目立つようになっています。また市街地のあちこちで個人商店や理髪店で営業をやめた所が見られます。店主の老齢化や病気で後継ぎがいないのかもしれませんが、実際のところはコロナ禍の影響もあるのではないでしょうか。
 コロナ禍が終息しても地方都市の今の状況は変わることはないと思います。大企業や地域の支配層にとっては、損失を少なくし利潤を少しでも上げるためには、コロナ禍を利用するのは好都合だからです。コロナ禍が終息した後は、大都市圏への一極集中と地方の疲弊はさらに進むことは間違いないでしょう。

変わる政治情勢
 地方は、一部の企業は時流に乗って潤っていますが、多くの企業は業績が低迷しています。疲弊が進み、住民の不満は高まっています。地方選挙では、地方議会で自民党系の議員の議席数が減ったり、首長選挙でも有利なはずの政権与党の推す候補が落選したり、自民党系の議員団が分裂するなど、少しずつ政治情勢は変わってきているように感じます。
 今年は秋までに総選挙が実施されます。自民党の議席にどこまで影響するか分かりませんが、確実に得票数は減るでしょう。一方の野党は、週刊誌の報道を元に国会で政権の追求をするのはいいのですが、外交や防衛の課題では十分な追及がないような気がします。米国のバイデン政権の発足で、中国と対峙(たいじ)する体制が強まり、日本もその中に組み込まれているにもかかわらずです。国の運命のかかる状況に直面しているのに、のん気なものです。今の野党に期待できません。
 コロナ禍の地方の窮状のなかで、住民の不満が高まり、情勢は大きく変わろうとしています。その中で私たちの役割はいちだんと強まってくるものと確信しています。私の周囲にも困っている人が多数いるものと思います。地域の皆さんたちとよく相談して、できるところから活動を進めていきたいと思います。がんばります。


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