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労働新聞 2021年2月5日号 7面・通信・投稿

政府のコロナ対策に怒り

国民の苦しみ分かっていない

広島県・伊藤 充

 こんにちは。新型コロナウイルスの感染拡大がなかなか収まりませんね。国民に外出自粛を要請しておきながら、自公両党幹部による深夜の東京・銀座のクラブ通いの体たらく。まるで危機感がなく、「自分たちは特別」と国民をバカにする態度丸出しです。職場でも「あいつらは何をやっとるんや、なさけない」と話題になっています。私は高齢者施設で働いているので、職場での感染防止策は日増しに徹底さていて、毎日気を張って細心の注意を払いながら仕事をしていますので、なおさら腹立たしい思いです。

まるで広島いじめ
 昨年十二月十八日、広島は市の人口十万人あたりの一週間の新規感染者数が三九・九三人となり、全国二十の政令指定都市で大阪市、東京都を超えて最多となりました。その後も感染は拡大し、二十六日には四四・二人に達し、ステージ4(感染爆発)の指標である二十五人をはるかに超える事態は収まりませんでした。
 事態を受けて県は十二日から今年一月十七日まで独自の感染拡大防止集中対策を実施しました。十四日に政府の緊急事態宣言が十一都府県に拡大された際には広島市も準宣言地域に指定される予定でしたが、国は「緊急事態宣言に準じる地域」に指定しないと同日通告しました。その結果、指定を前提に時短協力金や支援金を予定していた額を急遽減額せざるを得なくなり、休業、時短の要請に応じようとしていた飲食店などに大きな影響を与えました。対策期間中に時短に応じた事業者に対しては、準宣言地域への指定に伴う国の財政支援を前提に、当初は一店舗あたり百二十六万円の協力金を予定していましたが八十四万円に修正を余儀なくされました。
 さらに県は集中対策期間を二月七日まで再延長しましたが、国が準宣言地域を見送ったため、協力する飲食店の取引先に検討された最大四十万円の一時金もなくなりました。近所に酒卸会社の社員がいるのですが、「飲食店は生き残れても関連業者はつぶれてしまう」と憤っていました。食品や食材をはじめ、酒類、貸しおしぼりなど飲食店の営業を支える関連業者への支援は薄いまま。「お通し」の販売先である地区内のスナックやスタンドなどが感染拡大で休廃業し、売り上げが激減した創業七十年の小さな惣菜店が店じまいとなりました。そこの店主は「夜の街を支える誇りを胸に長年やってきたが、もうどうにもならない」「休業中のお得意さんに会えないまま店を閉じるのは寂しい。店や人とのつながりが好きだったが、コロナで分断されてしまった」とつぶやいていました。
 県内のバス・タクシー事業者も苦境に立たされています。こちらも「宣言に準じる地域」にならなかったため一時金(法人最大四十万円、個人同二十万円)が受け取れなくなりました。知人のある事業者によると、午後八時以降の売り上げはコロナ前の三割弱で、「経営への影響は痛いを通り越している」と漏らしていました。個人タクシーなので「客の減少が生活に直結する。一時金が無くなったのは大きい」と嘆いています。バス会社も年明けからの売り上げが前年の約六割となり厳しさが増しているようです。
 このように広島県民にはより犠牲がしわ寄せされている現状があります。この背景には今秋の自民総裁選をめざす岸田前政調会長の求心力を弱めたい菅首相の意向があるとも言われていますが、政治の私物化もいいところで、腹立たしい限りです。

管理強化ばかり熱心
 広島名産のカキの養殖業者も飲食店向けの需要が減り卸価格が下落、カキ祭りなどの催事の中止も相次いでいるため、ネットで販売・PRするなど、何とか家庭向けの消費を喚起しようとしています。
 そんななか、広島電鉄はホテル事業から撤退を決めました。老朽化していたJR広島駅近くの「ニューヒロデン」の修繕をあきらめ、とうとう一月末に閉館、百二十二人の全従業員が失職します。
 二三年九月末での閉鎖が発表された日本製鉄の呉製鉄所(広島県呉市、現・瀬戸内製鉄所呉地区)では、地元での雇用の受け皿についてこれまで悲観的な見方が大勢を占めていました。感染拡大で企業業績が悪化し、呉エリアの有効求人倍率は二〇年五月から一倍割れが続き、まだ回復の兆しはありません。製鉄所で働く人は協力会社を含めて約三千三百人いましたが、すでに県外への転職などで三百人ほどが辞めたようです。相当深刻です。
 私が勤めるような高齢者施設は、介助や入所者同士の接触で感染が広がりやすいとされ、昨夏の「第二波」から対策の必要性が指摘されていました。国の対策が遅いので県では独自に十一月から、県内四百七十五施設で働く約一万八千六百人を対象に、月一回の抗原検査を実施し始めました。私自身は基礎疾患があるので心配でしたが、職場の全職員が陰性で、その時はほっとしました。
 湯崎知事は先日、広島市中心部の住民と就業者計約八十万人を対象に無料PCR検査を二月中旬に始めると発表しました。約二十八万人、一日あたり八千人の受検(任意)を見込み、一カ月程度で終わらせる予定です。また二月七日までとしていた飲食店に対する営業時間の短縮要請を二十一日まで延長する方針を示しました。時短要請の対象外となっている広島市以外の飲食店への支援金も公表、二〇年十二月か二一年一月の売上高が前年同月比三〇%以上減った場合に三十万円を給付します。
 どれぐらいの効果があるか、またほかにもいろいろな課題や、対策しないといけないこともありますが、このように地方都市・広島の危機意識は強く、それに比べて国は随分後追いのような感じで、株価の高騰とか、経済対策ばかりに目がいっているように思います。
 先日可決された総額十九兆円超える第三次補正予算もほとんどが経済対策です。崩壊の危機にさらされている医療や、飲食業界、交通事業者、失業等で生活苦に喘ぐ人に最大限の支援策を講じるべきではないでしょうか。本当に腹立たしいです。
 緊急事態法で罰則をもうけたり、ワクチン接種にマイナンバーを紐付けしようとするなど、国民管理の強化ばかりを考えているようにも思えます。国民の命と暮らしを守るのが最優先ではないですかね。


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