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労働新聞 2018年10月25日号 投稿・通信

ピース・フェスティバル
in 大和・綾瀬2018


 「アジアの平和を」思い深める

神奈川県綾瀬市議会議員 越川 好昭

  十月十四日、「アジアに平和を、静かな空を!」をスローガンに「ピース・フェスティバルin大和・綾瀬2018」が神奈川県大和市で行われました。昨年は台風のため中止だったので二年ぶりの開催、今年で十七回目になります。労組や平和・市民団体などが毎年実行委員会をつくって行っているもので、大和市と綾瀬市、そして両市教育委員会が後援しています。私は今年この催しの実行委員長を務めました。
 今年も朝方は小雨模様でしたが、天気予報は昼前から晴れ。天気予報を当てにして開催したところ、開催時間十時頃には雨が上がり、昼前には晴天になって澄み切った秋晴れの下で開催することができました。
 このフェスティバルは米軍厚木基地を抱える大和市・綾瀬市の平和・市民団体や湘北教組、自治労、高教組、相鉄労組などが、基地の爆音被害や部品落下・墜落の危険を訴えるだけでなく、米軍基地からイラクやアフガニスタンなどに攻撃に行くことに反対し、アジアの平和を訴えることから始まったものです。多くの市民に訴え、共感を持ってもらおうと、人通りの多い駅前広場での開催としています。
 会場の中央には舞台を設けてコンサートを開催しました。多彩なジャンルの四つの音楽グループの演奏と地元の子どもたちによるダンスパフォーマンスで会場は盛り上がり、舞台前の観客席は終始満席状態でした。演奏者と観客は一体となって楽しんでいて、主催者としてもうれしい限りでした。
 舞台の周辺には厚木基地爆音防止期成同盟や湘北教組など各団体がテントを張って模擬店を出店しました。焼きそばや低農薬野菜、エスニック料理や沖縄物産、フェアトレード雑貨などを販売、また厚木基地と周辺のジオラマ、写真で見る沖縄の米軍基地、オスプレイの危険を訴える模型など、目で見て分かる展示も。私もかかわる自主・平和・民主のための広範な国民連合・神奈川は、日米地位協定の抜本改定を訴える展示や集会報告集を販売するなど、硬軟織り交ぜて楽しみながらの学習を意識した展示を行いました。
 今年はと言えば、朝鮮半島では南北首脳会談が実現し、民族自決に基づき朝鮮半島での緊張を緩和する、朝鮮戦争を終わらせるという南北両国の強い意志が示され、その決意に押されて米朝首脳会談も実現、朝鮮半島の非核化で一致するなど、東アジアの政治が大きく動きました。昨年は朝鮮半島の軍事的緊張が大きく高まって戦争の危険さえありましたが、今年は米朝首脳会以降は米韓の軍事演習は行われていません。歓迎すべき状況です。
 日本は朝鮮半島について、かつて植民地支配をして太平洋戦争に巻き込み、朝鮮戦争では米軍の後方基地としての役割を果たした責任があります。安倍政権のように制裁一辺倒、拉致問題や核放棄を前提とするのではなく、無条件で国交正常化を行い、話し合いによる朝鮮半島の平和に積極的に関わるべきです…主催者あいさつで私はそのようなことを話しました。
 また、この日の三日前から厚木基地にスプレイ三機が飛来していて、そのうちの二機がこの日に自衛隊朝霞訓練場(埼玉県朝霞市など)での観閲式に祝賀飛行に行くことになっていました。そこで厚木基地爆音防止期成同盟はじめ第五次厚木基地爆音訴訟団、基地撤去をめざす県央共闘会議、平和運動センターの四団体が抗議行動をしました。
 厚木爆同の石郷岡忠男委員長は、ピース・フェスティバルでのあいさつで抗議行動を紹介し、続けて次のような内容を訴えました。厚木基地では今年三月、米軍艦載機の固定翼機はすべて岩国に移駐しました。艦載機の激しい爆音は九割方減り、国はそのことを強調していますが、残っているヘリコプター部隊のヘリの音も、自衛隊のヘリや対潜哨戒機P1の音も、艦載機ほどではないが生活に支障をきたすほどの騒音で、問題は依然として残っています。爆音訴訟勝利のために闘っていきます。基地の整理・縮小も必要です。そうした訴えは市民に届いていると思います。
 舞台では、コンサートの合間に模擬店出店者の二分間アピールがありました。
 沖縄県の翁長前知事が亡くなられた後の知事選挙で翁長さんの遺志を継いだ玉城デニーさんが勝利したこともあるのか、翁長知事の言葉を紹介した国民連合・神奈川からの次の発言が耳目を引きました。
 「安倍首相は『日本を取り戻す』と言っていますが、その『日本』の中に沖縄が入っていますかという問いには答えていただけませんでした。いちばん日本にとって大切な北東アジアの政治情勢、国際情勢に手をこまねいて、大切な拉致問題に関しても他人任せというのが今の状況です。今の日本の米国に対しての従属は、日本国憲法の上に日米地位協定があって、国会の上に日米合同委員会がある。この二つの状況の中で日本は米国に対して何も言えない状況がある」という言葉です。
 この声を紹介した上で「翁長知事は対米従属で自主がない日本を批判しました。私たちはこの翁長知事の平和と民主主義、自主を求める遺志をしっかり受け止め、新基地建設反対、日米地位協定の抜本改定の運動を進めていかなければなりません」とのアピールがありました。耳を傾けていた人の真剣な表情が印象的でした。
 その通りだと思います。その方向に向かう動きをつくる、良い機会が来ていると思います。
 最近、米国のペンス副大統領は「中国は西太平洋から米国をはじき出し、私たちが同盟国を助けられなくしようとしている」など、政治、経済、軍事のあらゆる分野で、中国が掲げる価値観そのものに矛先を向けた発言をしました。また米国の戦略家ルトワック氏は「読売新聞」のインタビューで「中国が支配する世界、中国に牛耳られた経済の中で生きて行くのか、それとも複数の極がある世界で生きて行くのか、という問題だ」「ペンス氏の対中政策演説は、長期にわたる対決が始まったという公式な表明だ。国家声明として受け止めるべきだ」と述べています。米中対立の激化は避けられそうにありません。
 対米従属の日本では、米国の戦略に従って中国と敵対することになります。これでは日本の平和も将来も危ない。自主的でアジアの国々と平和共存を進める日本へと政治を変えたい。フェスを訪れ楽しんでいる親子などを見て、そう思いを深めた一日でした。


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