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労働新聞 2018年10月15日号 投稿・通信

住民軽視・株主重視のJRに憤り

公共交通の使命忘れた合理化

  「労働新聞」の読者の皆さん、こんにちは。私は九州のある地方都市に住んでいます。鉄道を利用することが多いのですが、私の地域のJRの状況について、利用者を大事にしなくなっているのが鮮明になってきており、腹立たしく思っているので投稿します。

ひどいダイヤ改悪に
 JR各社は毎年三月にダイヤ改正を行っています。JR九州もダイヤを改正しました。今年は「見直し」と発表していましたので、運転時分の調整、停車時間の調整、列車接続の改善など微調整ぐらいだと思っていましたが、いざ改正が実施されると、利用者が不便となる納得できないダイヤ編成となっていました。改正ではなく改悪でした。改悪だとの自覚があるので、JR九州は乗客の反発を招くことも考え、「見直し」と表現したのでしょう。
 少し前になりますが、五月の連休に実家に帰るためにJRを利用しました。私の実家はJRの駅の近くにあるので帰省する時はいつもJRを利用しています。
 この時、私の家の最寄のJR駅に行きびっくりしました。これまで昼間の時間帯では一時間あたり四本(上下併せて八本)の電車が運転されていましたが、これが今回のダイヤ改悪(見直しではありません)で、二本(上下併せて四本)の運転となっていました。車両の編成数も減り、二両のワンマン電車です。しかも一時間に二本の電車のうち一本は快速です。快速はこれまでは地域の中心都市の駅に直通していましたが、今回から途中駅で中心都市行きの快速に乗り換える不便な形となりました。快速が停車しない駅は一時間に一本の電車の発着でさらに不便となっています。
 電車は満員でした。運転本数も編成両数も減ったから当然のことです。休日の昼間の人の動きの多い時間帯にわずか二両、一本乗り遅れると三十分待たなければならないダイヤ編成にあぜんとしました。
 途中、私鉄との乗換駅で少し乗客は減りましたが、その後駅に停車する度にまた少しずつ乗客が増えてきてギュウギュウ詰めに。地域の中心都市行きの快速電車に接続する駅で降り、あらためて乗り換えました。この乗り換えも不便で、対面(ホームの両側で乗り換え)ではなく、階段を昇り降りした先の別のホームでの乗り換えでした。こちらの電車は始発駅で編成両数も多かったので座ることができました。
 私の実家のあるJR線はもっとひどく、昼間の時間帯は普通電車の運転は一時間に一本、特急電車の運転本数の方が多い状況です。

豪華列車は続々と運行
 JR九州は「効率的な輸送体系の構築に努める」との号令の下で合理化を進めてきました。また一昨年には株式を上場しました。利益を出し、配当しなければならない事情が根底にあるものと思います。
 列車の運転本数の削減、編成両数の削減、ワンマン化、駅の無人化、駅業務の業務委託、駅窓口の営業時間短縮など、利用者を顧みない合理化が続き、乗客の不便さが増しています。公共交通機関としての使命を忘れた合理化です。大雨や台風で不通となった路線も、利用客の少ないローカル線は復旧工事に着手しません。廃線をもくろんでいるのでしょう。
 その一方で、とても一般大衆・労働者が払えない高額な料金の寝台列車や、観光客しか乗らないきらびやかな観光列車を運行するなど、金持ちに奉仕する一方で地域の利用客のためにはならない列車を走らせたりしています。
 JR九州に限らず、鉄道会社は本業の鉄道を維持・発展させていくことが使命であるにもかかわらず、鉄道への投資はおざなりのようです。車両故障や人身事故が多発し、以前と比べ全国の鉄道で運転ダイヤの乱れる日が多くなったように感じます。また鉄道会社はその施設を生かして商業施設の運営や流通業等の付帯事業(副業)で利益を上げているようですが、その利益は本業の鉄道のために生かされていないのが現状ではないでしょうか。


合理化促す政治に怒り
 安倍政権の経済政策であるアベノミクスの進行で、企業の利益の出ていない部門(セグメント)の切り捨てがますます進んでいます。鉄道は、特に地方では、なかなか利益を出せない路線もあり、廃線や駅の無人化等の合理化による鉄道切り捨てが進行しています。
 今の政治は、大企業・多国籍企業・富裕層の利益に直結する政治構造で、利益とならないもの切り捨てがれています。企業の決算も四半期ごとの決算(三カ月ごと)重視となり、以前のように半期(六カ月ごと)や一年間での決算開示は重視されなくなっており、企業はごく短期での利益計上と配当金の増額など株主の利益になることを求められています。
 米国や欧州発の多国籍大企業の論理が、日本にも浸透し、短期で利益の出ない企業は株式市場からの退出(倒産)を求められています。このことが私の地域のように、地方での公共交通機関の切り捨て、衰退につながっているのです。
 このような論理で犠牲になるのは労働者・庶民・高齢者等社会的弱者です。大企業・多国籍企業が利益をため込む経済構造が進んでいることで、労働者の給与は抑えられ、福祉は切り捨て、一方で財政赤字になっても大企業・多国籍企業の利益は確保される政治が続いています。
 今の政治構造・経済構造に、多くの国民の不満が鬱積しています。自民党総裁選で表面化した地方の不満、沖縄県知事選の結果などにそれは如実にあらわれています。
 いま日本は歴史的転換期に差しかかっており、数年のうちに国内外で重大な情勢の局面を迎えると考えます。もうひと踏ん張りして、夢の実現のために奮闘したいと思っています。がんばるぞ!(Q)


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