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労働新聞 2018年4月15日号 投稿・通信

かつてない大リストラの
時代が来るのか
状況の変化を痛感する日々

  AIの進歩で医者や技師は不要に?

神奈川県・医療労働者 青田 雄二

 私は総合病院で働いています。
 最近テレビや新聞でAI(人工知能)という言葉をよく目にしますが、私のように病院でX線検査装置や放射線治療装置などを扱っている者は、AIなどにより機械が日々進化し自動化が進んでいるのを肌で感じています。今はまだ人間が判断し装置に指示を与えて動かしていますが、間違った指示をした場合には装置がエラーを表示し正しい指示を促します。
 人間が判断する場合には、目で見て、耳で聞いたり、触れたり、これまでの経験などが必要です。これを完全にコンピュータにさせることができるのでしょうか。カメラの画像やセンサーのデータを使用し、これまでの成功・失敗した事例等を積み重ねたデータからコンピュータが最善の方法を選択し指示を出すことは、コストと時間をかければすでに可能なことだと思います。
 実際に特定の分野、たとえば車の自動運転が、世界中で開発され試験的に行われており、最近死亡事故が起き少し足踏み状態ですが、実用化されるのは時間の問題でしょう。囲碁、将棋でAIが人間に勝ったことも多くの人が知っている事実です。
 医療の分野では十年以上前から画像を解析し診断補助をするシステムが開発されていす。医療で使用する画像はすでにほとんどがデジタル画になっており、その中でも乳房超音波検査(マンモグラフィー)の診断補助システムが開発され、画像診断をする画面で「異常かもしれない」という部分にマークが付くというシステム。その他にも、健康診断でよく撮影する胸部レントゲンですが、その人の前回画像と比較して異常を指摘するシステム等が開発されています。ただ、費用がかかることやすべての診療場面での診断補助には十分なレベルになっていないため、まだ広く普及していません。
 しかしこれからは状況は変わるでしょう。現在のAI技術は、実際人間が行ってきた診断結果と画像のデータを積み重ねた膨大なデータ(ビッグデータ)をコンピュータが利用して判断する、しかもこれまでよりもはるかに高速な量子コンピュータを使用して行うというものです。この技術を使用し診断補助システムをつくれば、これまでの物とは比較にならない高い水準のシステムができることでしょう。診断補助ではなくAIが診断をし、医師は確認のみというシステム開発もすぐそこに来ていると思います。
 先日、医師との話でAIの話題になりました。医師たちが行っている診断もすべてAIが行う、近い将来そんな世の中になるかもしれない、そんなことを言っている医師がいましたが、それも冗談ではなく時間の問題で実際に起こり得る話です。
 私たち放射線技師も、撮影や検査は自動化が進んで、自分で自由に動ける患者さんはスーパーのセルフレジみたいに機械と会話して自動で撮影するということが可能になってしまうかもしれません。その時に私はどうなるのでしょうか。
 現在、装置も自動化が進んでおり、それを制御するのがAIという組み合わせでは、一度設定してしまえば、AI自らどんどん経験を積み重ね、学習し人間と同レベル以上のところまで行ってしまう、という可能性があります。
 このようなことは工場など製造業では医療より早く進んでいるでしょう。テレビや雑誌などでも「将来なくなる職業」などの特集をよく目にします。そのような状況になれば、かつて機械化で人員整理(リストラ)が行われた時以上に失業者が増えるでしょう。労働力不足で働き手が少なくなっている実際もありますが、生産しても実質賃金低下で購買力が低下しているこんにち、働き手が不足する速さより、自動制御+AIでの人員整理のほうが早く進むように思われます。
 資本主義体制の中で、次々に開発される技術・機器。いま言われている第三次産業革命も、すべては人間が便利に生活できるために開発されてきたはず。それを開発・製造しているのは労働者です。便利になっても、仕事がなくなることは望んでいません。どうすれば皆が幸せになれるのでしょうか。


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