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労働新聞 2017年12月5日号 投稿・通信

韓国で労働者大会に参加して

  日本の労働者もストで闘おう

中小企業労働者 矢倉 拓郎

 私は中小企業の現場労働者です。高卒で働き続けた職場で定年を迎えて、再雇用に入る前につかの間の休みが取れたので、韓国・民主労総の労働者大会に参加するツアーに参加しました。
 初めての海外旅行です。まるで遠足に行く子供のように、眠れないまま出発の朝を迎えました。
 故郷の鹿児島空港から見る桜島のような風景の金浦空港に降り立ちました。しかし、空港からは別世界でした。なんせ書いてある文字がまったく読めません。不思議の国にいるようでした。
 十一月十一日は全国労働者大会の前夜祭が行われ、若い労働者たちが舞台をキビキビ進行する姿がまぶしく、会場から労働者大会を宣伝するプラカードを掲げた大きなトラクターが何台も道路を進む光景に驚かされました。今年の全国労働者大会は、一九八七年の労働者大闘争三十周年、チョン・テイル烈士四十七周年(※)、 民主労総発足二十二周年に合わせて進められたそうです。
 翌十二日の全国労働者大会は、ソウル市庁広場で開かれました。全国から集まった民主労総の組合員たち約五万人が参加した労働者大会は、まるで演劇のショーのようでした。
 時には勇壮な音楽が流され、時には多数の若い組合員たちによる歌とダンスが披露されるなか、整然と進行する韓国の労働者の壮観な姿に圧倒されました。 通訳の話を必死に聞いたところ、労働者たちは「キャンドル革命」から一年、文在寅政権発足から半年が経つのに私たちの生活は変わっていないと、政権を糾弾しているとのことでした。労働者大会のスローガンは「私の人生を変える民主労総」です。若い労働者たちの心に響く、良いスローガンだと思いました。
 発言者が次々に舞台で演説を行いましたが、言葉が分からないことをこれほど悔しく思ったことはありません。わずかに非正規職撤廃を闘う労働者の発言の通訳を聞くことができました。今年の夏に全国で初めて非正規職の労働者が中心となって「非正規職ゼネスト」を闘い抜きながら、「非正規職を撤廃しろ!」とスローガンを掲げ闘う意気込みに胸を打たれました。
 韓国の労働者大会と日本のメーデーは違うなあと思いました。大会に参加して会場に座り込んでいるのは労働者たちだけで、その家族たちは少し離れたところにいて手を振っているように見えました。今年の労働者大会で残念なのは日程の関係で、農民たちの参加がなかったことでした。大会の最後は、八車線を封鎖して進む五万人のデモ行進で、私たちも参加しました。
 翌日、仁川で植民地時代の軍需工場近くの富平公園に設置された「強制連行の像」を見学、植民地時代の父と娘の労働者の像は「忘れるな!」と問いかけているようでした。
 また、アルバイト労働組合の若い学生たちとの交流ができました。学生たちは皆、貧しい親に負担をかけないようにアルバイトをしながら学んでいます。学生のアルバイトは一日に三時間しか働くことができないけれど、五日働くと六日分の賃金が支払われる法律があると聞きました。アルバイトの職場で労働組合を結成するまでの苦労として、いざ結成という時に「親兄弟に迷惑をかけるから」と脱落する仲間たちの話があり、組合結成の緊張感を学生時代から経験していることに驚きました。
 あっという間の三日間が過ぎて帰国しました。その後も韓国の民主労総の仲間たちの闘いが報道されています。十一月二十八日は勤労基準法に反対して国会前の行動が、翌二十九日には建設労組が建設勤労者法改正と労働基本権争奪を要求する全面ストライキを闘い、二万人の建設労働者たちが国会に集まり「建設勤労者法を改正して人間らしく生きよう」と声を上げ、座り込みを行いました。ストライキで果敢に闘う韓国の労働者たちの姿が目の前に浮かぶようです。
 安倍政権のアベノミクスで貧困に追い込まれる日本の労働者たちこそストライキで闘わなければならないと、決意を新たにしています。

※一九七〇年十一月十三日、「労働基準法を守れ」「私たちは機械ではない」と叫びながら、手に持った六法全書と自分の身に火をつけて亡くなったチョン・テイル烈士の命日に全国労働者大会が行われている。烈士とは、闘いの中で犠牲となった人物の称号。


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