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労働新聞 2017年11月25日号 投稿・通信

佐賀へのオスプレイ配備許せない 川副町での現地交流学習会
 
 干潟の自然と漁業を守りたい

福岡県・織田 信彦

 佐賀市川副町に「佐賀空港への自衛隊オスプレイ等配備反対地域住民の会」を訪ねる現地交流学習会が十一月五日、開かれました。
 この会は、九月に福岡県柳川市で開催された「恵みの海・豊かな大地を守ろう! 福岡県南集会」の実行委員会が企画したもので、私も微力ながら集会に関わった者として参加させてもらいました。
 参加者は二十人ほど。住民の会会長の古賀初次さんは海苔漁民の方で、この時期は海苔養殖のいちばん忙しい時なのですが、都合をつけて付き合ってくれました。ほかに事務局から二人が参加。
 はじめに古賀会長から挨拶がありました。
 「二〇一四年七月に突然、政府が佐賀空港への自衛隊所属の垂直離着陸輸送機オスプレイ配備を提案して以降、提案内容をころころと変えながら一方で地元への圧力を強めている。佐賀県議会も自衛隊受け入れ容認の決議をした。有明海の漁民はこれまでも、筑後大堰建設や諫早湾干拓などで国にダマされてきたが、もうダマされることはない。南川副漁協では若い後継者も育っている。建設予定地の地権者である南川副漁協が土地を手放さない限り、佐賀空港から駐機場に入る二本の誘導路も建設できず、防衛省の計画はとん挫する。子どもや孫たちのためにも、皆さんと手を取り合ってがんばって行きたい」と、力強く決意を述べました。
 続いて事務局の人が、パワーポイントの画像を使いながら、一四年七月以降の経過、政府提案の問題点、住民の会の活動などについて、詳しく報告されました。「建設予定地の面積を三十三ヘクタールにしたのは、それ以下だと環境アセスメントを受ける必要がないから」と、つい本音を漏らし、官邸から叱られてすぐに取り消した当時の防衛副大臣Fが、この交流会に参加した人の多くが居住する福岡七区選出であることに、参加者からは「今回も当選させてしまって申し訳ない」との声が上がりました。質疑応答の後、皆さんからの寄せ書きが記された「檄布」が会長に手渡されました。
 その後フィールドワークということで、まずは建設候補地の佐賀空港へ向かいました。空港ビル屋上の展望台から俯瞰(ふかん)すると、広大な干拓地の平野が広がっています。空港駐車場の西隣の土地が「候補地」だということです。「こんな条件のいい所だと、国が狙うだろうな」とは参加者のつぶやきでした。佐賀空港ができたことによっても、排水で海水の塩分濃度が下がり、排出口周辺では海苔の生育に影響が出ているとのことでした。
 それから直線距離で北西に四キロメートルほどですが、ぐるっと回って東与賀海岸に向かいました。
 ここの干潟はラムサール条約湿地に登録された渡り鳥の飛来地です。またこの時期はシチメンソウが紅葉する時期でもあります。シチメンソウはアカザ科の1年生草木で、満潮時に潮をかぶり干潮時には干潟になる場所で、風波や潮流の少ないところでしか生育しない「塩生植物」だそうです。成長の過程で色が変化し、晩秋には海岸一帯を真っ赤に染め上げます。私たちが行った時は、少し盛りを過ぎてはいましたが、海岸線が紅葉するという珍しい風景を目にすることができました。シチメンソウを見るために多くの観光客が押し寄せていることにも驚きました。
 この東与賀干潟は、渡り鳥の飛来地としても有名で、春と秋の渡りの季節には、数千羽のシギやチドリが干潟でエサをついばみ、クロツラヘラサギ・ズグロカモメ・ツクシガモなどの希少種も多く飛来するそうです。「こんな所をオスプレイが飛ぶと、当然渡り鳥は来なくなるよね」と、これも参加者のつぶやき。
 またこの日は有名な佐賀バルーンフェスタの最終日でした。天気はよかったのですが少し霞んでいたため、私にはよく見えなかったのですが、はるかかなたに浮かんでいる熱気球を見つけてはしゃぐ参加者もおりました。漁業・農業などの生活基盤、渡り鳥・シチメンソウ・バルーンなどの自然や平和な日常などを一気に破壊するオスプレイ配備を決して許してはいけない。そうした気持ちを強くさせられた一日でした。
 「古賀さんが座り込みなどをしなくてすむように、私たちもがんばりたいと思います」とは、参加者代表の終わりの挨拶でした。


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