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労働新聞 2017年9月25日号 投稿・通信

詩「ある郵便屋の一日」

埼玉県・真理村 圭

 今日一日、長い長い一日、夜の闇に向かい、ただ時が過ぎるだけ
 バイクのエンジン音が、冷え切った空のなかに、吸い込まれていく
 時折、左手の腕時計に目を向け、残業時間を気にしている自分に気が付き、グリップを開きスピードを少しずつ上げる
 次の家をめざし、頭の中のカーナビが動くが、たまにオーバーラン、ロスタイム発生
 郵便屋にとって、三分のロスが、「〇軒×三分」になるからだ
 最後の家にたどり着く。十時五分。チャイムを鳴らす。ご苦労さまの声が返ってきた
 もうだめ、サービスタイムに、突入だ。事務作業終了PM十一時だ
 朝九時三十分から夜十一時まで、オーバータイム四時間、サービス三十分、休み時間くい込み四十五分。なんと、十三時間三十分労働、おまけに、今日は休日出勤だった
 書留百三十本、小包七個、心身ぼろボロボロ、逃げ出したい
 一日がやっと終わり、ラーメンでほっとしている自分がいた。十二月、ある郵便屋の一日
   *    *
 これは、もう十年くらい前の初冬の十二月六日、前超勤二時間、おまけに休日出勤の一日を詩という形にしたものです。今でいうブログみたいなものです。
 なぜこの詩を書いたのかと聞かれても、ずいぶん前のことなので記憶があいまいなのですが。職場の仲間も集い学習会を開いたことがあり、そこで三井三池労組にいたFさんの話を聞きました。もちろん当時の闘いの話が中心になりました。その中で「自分は何十年も炭鉱で働いてきた。その中で、地下足袋を何百足、手袋をいくつ、つぶしてきた。こつこつと働く労働者は偉大な存在である。身を粉にして、炭塵(たんじん)まみれになっても働いてきた」と、当時を振り返って話されたことを覚えています。
 この詩を書いたのはFさんの話があったから書いたのではないかと思います。一日に、書留百三十本、小包七個の労働量。十三時間三十分の労働時間。炭鉱労働者はどのくらいの山を一生掘ったのか。郵便労働者は、定年まで、何十万キロバイクで走ったのか。月まで届くぐらいなのか。一日、一日をコツコツと働く、その積み重ねはなんと偉大なものであるのか。労働者の誇りです。
 最後に一言。格差是正を求めた郵政契約社員三人の裁判勝訴について、裁判所は「非正規労働者に有給の病気休暇、住居手当、年末年始の特別手当がなどがないことは不合理な差異にあたる」と決定、約九十万円の支払いを命じました。
 郵政にはJP労組以外に多くの単独組合があります。正規だとか非正規だとか区別なく、一人ひとりの労働者を守る、生活の向上を求める、これが本来の労働組合の姿です。
 もう何年もこの裁判は闘われてきました。一人ひとりの労働者を守るために。一方でフジビなど不当な判決が多いですが、粘り強く闘い、これからのさらなる前進を勝ち取りましょう。


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