労働新聞 2004年12月5日号 通信・投稿

三菱自動車

デタラメな経営陣に怒り

愛知 岩田 富男

■迷走する工場閉鎖問題

 労働新聞で三菱自動車岡崎工場の閉鎖問題がいろいろ報道されており、感心して読んでいます。
 その岡崎工場が、どうも閉鎖されないようです。三菱の「パジェロ」は子会社の「パジェロ製造」(岐阜県)と中国で生産していますが、中国生産をさらに強化することが10月15日に発表されました。現在、20%以下の中国の合弁会社の株保有を51%まで増やすそうです。
 そうなれば、「パジェロ製造」の労働者や岡崎工場から「パジェロ製造」に行った労働者はどうなるのでしょうか? またも、労働者は資本の身勝手な都合で、振り回されてしまうでしょう。
 そして、日産自動車が三菱自動車の小型車部門を買収しようとしています。それは、日産が株式の51%を保有する合弁会社をつくるというものです。そうなれば、小型車を生産している三菱自動車水島工場(岡山県)は、合弁会社の工場になります。結論は年内には出るそうですが。
 そうなると、三菱自動車には生産する工場がなくなってしまいます。京都・滋賀はエンジン工場ですので、自動車の生産はできません。その結果、岡崎工場に三菱車の生産が集約されるかもしれません。
 また、本社の京都移転も白紙になりそうです。東京から本社を移すと約1000人が会社を辞めるといわれており、そうなれば本社機能が維持できないそうです。これには、受け入れを表明した京都は怒っていると報道されています。それはそうでしょう。京都市や京都府は、公用車を三菱車にするとか、受け入れのためのさまざまな優遇措置などを発表してきたのですから。

■岡崎工場辞めた700人の無念

 何という戦略のなさ。もともと三菱の低迷は、会社上層部のリコール隠しが原因で、労働者には何の責任もありません。それどころか、冬のボーナスなし、賃金5%カットによって、生活が破壊されています。家のローンのある人は、だいたいボーナス時に何十万円も支払いがあります。そのため、冬のローンのめどが立たず、退職し、退職金で補てんした人もいると聞いています。
 また、三菱自動車に見切りをつけて退職した人、トヨタなどの近隣企業に応募した人など、700人もの労働者が岡崎工場を後にしました。
 岡崎工場が閉鎖されないとすると、辞めていった労働者は、一体何のために辞めたのか。会社の経営方針のデタラメさに腹が立ちます。まして、トヨタなど近隣企業を応募した人びとは、試用期間がだいたい年内いっぱいあります。それで採用されなかったら、どうなるのでしょうか。本当に頭に来る話です。
 なお、岡崎工場には、聴覚障害者30人が働いています。そのうち、10人が生産に携わっています。6月3日の社長との対話集会の時、障害者は自分たちの将来にかかわることなので、手話通訳を要望したのですが、会社側はそれを拒否しました。かれらの粘り強い要求で、7月26日の説明会から手話通訳がつきましたが、その間、聴覚障害者には情報伝達が放置される状態が続いたのです。企業内で、障害者が不公平な扱いを受けており、とんでもない話です。
 さらに、3年前、名古屋大江工場から配転させられた時、会社側は「今後は配転はない」と説明していました。障害者の中には「だまされた」と思った人も多くいると聞いています。
 経営陣の失敗で、職場を追われた労働者、三菱に振り回される下請け・関連企業とそこの働く労働者のことなど、どれを見ても、すべて責任は三菱の経営者にあります。こんなデタラメを許せば、労働者は生きていけません。
 三菱資本の横暴を許さず、引き続き地域の労働者が三菱問題で闘っていくことを強く願っています。


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