労働新聞 2004年11月25日号 通信・投稿

資本の論理に強い怒り

闘いはここから、闘いは今から

愛知 北島 光雄

 9月5日の「がんばれ!三菱労働者岡崎集会」に参加した。その時、元三池労組の執行委員だった藤沢さんが激励発言をした。何か印象に残り、会場で藤沢さんの「三池闘争と私」という小冊子を購入した。
 それを読んでいると三池闘争のビデオの紹介があった。数人に電話し、借りることができた。さっそく、そのビデオを見た。
 「感動し、混乱した」−−このビデオを見ての感想である。
 あのエネルギーは、どこから来たのか? 長い地道な活動と学習の積み重ねの結果が、あれだけの盛り上りを招いたのだろう。しかし、それ以上に同じ炭住で、ミソ・しょう油の貸し借りから始まり、家庭のもめ事まで知り抜いた「母ちゃん」仲間の力の大きさを思い知った。
 母ちゃんたちを団結させた原点は、何だったのだろうか? エネルギー転換による石炭産業の衰退に対応するための合理化という名のもとでリストラされる仲間。明日はわが身かもしれない恐怖。ここで踏ん張らなければ、負け犬集団になるという予感があったのではないだろうか。
 「時代が変わった」−−それだけで現在の不毛な労働運動を評価していた俺自身を批判した。
 第2組合の成立・炭労の戦術変更などにもかかわらず一応の勝利を勝ち取った。闘いはここから、闘いは今から、あの「がんばろう」の歌声が聞こえてきたのは、母ちゃんたちの決意のあらわれだったかもしれない。
 若い時の夢と希望がいっぱい詰まっていた。それに涙した。
 総資本対総労働。石炭から石油へのエネルギー転換。炭労、総評の苦渋の選択は評価できないが、批判などすべきでないと思う。石油が産業の中心となった。石炭産業は切り捨てるべきだ、炭坑はつぶす−−資本の論理だ。
 グローバル経済とリストラ。多国籍企業が競争に勝つためには不用な者・不用な設備は切り捨てるべきだという非人間的な資本の論理に怒りをぶつけたい。
 三菱岡崎工場の閉鎖、これもグローバル資本主義のあらわれだろう。しかし、資本に愚弄(ぐろう)されている三菱自動車労組は闘わないばかりか、リストラを推進している。一方で閉鎖に反対し労働者を支援する集会と参加した地域の労組などの熱い連帯。本当にあの集会は感動的だった。
 そして、10月にはこの集会の呼びかけ人が逮捕された、と新聞で見た。
 あの三池の母ちゃんたちだったらどうするだろうか? グローバル経済だからリストラを認めるだろうか? 民主党と連合のいう「雇用の確保」を信じるだろうか? あの逮捕劇が、資本が最も恐れる弱点をさらけ出したのだ。地域の下請け、関連企業や商店と地域の労組との連帯。あの集会には、その芽が感じられた。グローバル資本主義か地域の連帯かが問われている。闘いはここから、闘いは今から。「がんばろう」の歌が、こだますることを願う。


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