労働新聞 2004年10月25日号 通信・投稿

現場は正規職員採用ゼロ

国の予算、政策変更が必要
十分な教育予算をよこせ!

教育労働者 松山 敏雄

 市民オンブズマンと称する人物が活躍している。この人は抜き打ちで学校に姿を現し、職員の勤務実態を厳しく調査し、公文書を見せろと管理職に申し出る。もちろん生徒や職員のプライバシーにかかわることは公開できないが、勤務状態は公開すべきことである。 出勤簿の捺印、休暇簿、夏休みなどの休暇や研修、代休や勤務の振り替えなど、条例に基づき勤務時間通りにきちんと就労しているか、研修と称してさぼっていないかなどを執拗(しつよう)に調べる。当然、公務員として決められた規則にのっとって執行されていれば問題ないわけであるが。
 このようなことはもうかれこれ10年になる。私は直接お目にかかったことはないが、管理職や受付で対応する事務職員や組合の調査を総合してみると、当初はあまり礼儀もわきまえず横柄で乱暴な言葉で、対応する職員や気の弱い管理職は震え上がることもあったようだ。
 公用の電話を使って、教育委員会に長々と事実関係を問い合わせたりして、業務に支障をきたすこともあった。そこで、私たちは人権侵害などで訴訟に持ち込んだこともある。彼は、それからは学校の公衆電話を使うようになった。
 ここで言いたいのは、怠慢や不正を調査することは当然であるとしても、働く側や生徒の状況も調査した上で告発しているのかとうことである。その御仁は公務員に対して個人的な恨みがあるのか、学校というものに反感をもっているかのような態度である。

学校にのしかかる社会矛盾

 学校はさまざまな問題をかかえている。家庭状況が複雑な生徒も多く、不況の影響で授業料や旅行積立金の滞納も多くなっている。また、目標を失って元気がなくなる生徒の支援、問題行動の指導、学習の遅れを取り戻すための補習、欠席がちの生徒に対する学習補充、さらに休日のクラブ活動や引率指導、課外活動指導、資格や検定学習などが重なり、過重労働、サービス残業、休日出勤も多くなりがちである。現在、精神的な病気を繰り返したり、産後の育児で休職している職員もいるが、すぐに補充人員が見つからないことも多い。規定以上に働かなければよいとは言うものの、そんなことでは気持ちがおさまらないのがわれわれの習性である。
 バブル経済の崩壊後、県財政のひっ迫は続いている。教育予算が削られて、十分な正規定員が確保されず、退職後の補充に正規職員が採用されなくなってから久しい。1人の正規職員を雇うとなれば、それなりのコストがかかるからだ。だから、臨時講師、実習助手や時間講師で、授業や業務を補っているのが実態である。
 時間講師は複数校かけもちの人が多く、曜日が固定される。そのために時間割変更が難しくなる。通院治療のために年次休暇をとりたくても、時間割を変更できないこともしばしばである。このような事態は、生徒の不利益にもつながる。
 さらに、臨時職員は2年までの半年契約で、先の見通しも不安定で、研修の機会も与えられない。いわば、使い捨ての人材なのである。
 組合からもこのような状況を県に訴えて交渉をもっているが、予算の壁はなかなか厚い。そのくせ、県は国体の装飾草花づくりや応援動員、選手強化には熱心である。
 今、民間企業はもちろんのこと、公共機関も「アウトソーシング」というわけの分からないカタカタ言葉を使って、格好いいような響きをもたせて、外部委託を進めている。人材派遣業と称するピンハネ、使い捨てシステムも大盛況。そのうち、公教育も外部委託、人材派遣のえじきとなる。
 製造業、サービス産業は今、コスト競争の中で、今まで日本の労働者がつちかってきたきた技術面での熟練や創意工夫や信頼性という貴重な財産を失いつつある。労働者は劣悪な状況におかれ、憲法が保障する「健康で文化的な生活」を享受する権利を失っている。
 そして、これが家庭の崩壊、家庭教育力の欠如、地域社会の崩壊となり、学校にのしかかる。その学校も、競争社会の戦士づくり、弱者切り捨て、商品価値の高い労働者づくりの工場と化してしまう。やはり、国の予算配分、政策から変えなければ何も前進しない。これが、現場からの訴えです。


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