労働新聞 2004年8月25日号 通信・投稿

組合員守るためがんばる

「効率アップ」の犠牲が現場に
職場はカリカリした雰囲気

ゴム工場労働者 柏原 幹男

 最近、私の働くゴム製品の工場でこんなことが起きました。
 お盆前のことですが、やや言語障害を持つ同僚が「おまえの製品にはシワができている!」と現場責任者から怒鳴りつけられました。製品をつくる過程ではだれでも一定の割合で、どうしてもシワがよってしまうのです。にもかかわらず、頭ごなしに非難されたことに、彼は「俺ばかりになんで言うんだ。そんなに言うのならもう帰る」と反発しました。責任者はこれを受けて「帰れ、帰れ」と、売り言葉に買い言葉です。頭に来た彼は、本当に帰ってしまったのです。
 翌日夜、私のところに彼から電話で相談がありました。話を聞いて、「責任者の言い方もひどい。ただ、ここは一言、すみませんでした、と言って復帰したらどうか」と、アドバイスしました。その翌日に、彼は出社しました。ところが、同じラインで働く同僚に聞くと、彼は「すみませんでした」と言ったようですが、すぐにけんか腰になって、また帰ってしまったのです。そして、そのままお盆休みになってしまいました。お盆明けから、ようやく彼も出社しているようで、ホッとしています。
 私の職場は、2つの労働組合があります。実は、彼を怒鳴りつけた人物は、多数派の組合の組合長なのです。そういう立場にありながら、組合員のことを同じ仲間だと思っていないような接し方です。彼も、帰ってしまったことを悪いと思っているし、どうやって収拾をつけたらよいか心配していたわけです。この気持ちををまずくみ取るという基本的な姿勢が、組合長には欠けていると思います。
 また、私は少数派組合の役員をしています。彼は多数派組合に属しているのですが、私たちの組合の懇親会でいっしょに「旅行積み立て」もしている仲です。そういう日ごろのつきあい、信頼関係があったからこそ、私に相談をもちかけたのでしょう。困った時に頼れなくては労働組合の存在意義がありません。今回の件は、組合長自身が「困ったこと」の原因になっているわけですから論外です。
 会社はここのところ、売り上げは増えていませんが、経費削減で利益は上がったようです。原油が急騰していますので、今後、石油値上げもあり、利益確保にいっそう必死になるでしょう。そうした時に、「効率アップ」の矛盾が現場に押しつけられ、いっそうカリカリした雰囲気になってくると思います。だからこそ、職場環境、労働条件を守るために、組合員の立場に立って、組合として引き続きがんばらなければと思います。


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