労働新聞 2004年7月25日号 通信・投稿

ボーナス
正社員1カ月、パート3万円

いっしょに待遇改善求めたい

「ケチ社長」に腹が立つ

福祉関連労働者 吉田 さくら

 私は、福祉関係の零細企業で働いています。労働組合もなく、私は地域労組に加盟しています。2年ほど前、突然、経営者が変わって社員が6人から4人に減り、仕事の量は1.5倍になりました。
 代わりにパートの人が入りましたが、昨年になって、ふとしたことで経理担当の人が事実上「解雇」され、さらに、それへの不満もあって同僚の一人も退職してしまいました。結果的には人件費が抑えられ、会社としては経営「改善」につながったらしいのです。  その結果、私の仕事はますます増え、忙しくなりました。いま話題の「サービス残業」も、当然のようになってしまっています。さすがに、給料は少し上がりましたが、「手当」扱いで、本給は据え置きでした。最近出たボーナスも1カ月分ぽっちで、「期待」したほどはありませんでした。「多く出すようにするからな」って言ったくせに! 社長のウソつき!

不公平なパート労働者の待遇

 この間の解雇や同僚が退職した経過にも、私はかなり不満を募らせていましたので、正直言って、「ケチ社長」は顔も見たくない気分です。
 ところで、いっしょに働いているパートの人の待遇ですが、彼女の扶養者だった夫が亡くなったという事情も後押しして、今年に入ってから、各種保険(雇用保険、労災保険、健康保険、厚生年金)に加入することになりました。社長は、このへんのことにもまるで認識がありませんでしたので、私としても、いろいろ上司などに働きかけた甲斐がありました。
 時給についても、最初700円からはじまり、約一年後に720円、そして最近、「少しやけど給料上げといたから」と社長が言っているのを聞き、いくらくらいかなと思ったのですが、740円だそうです。連合の「時給10円アップを」という要求水準よりはちょっとだけましかもしれませんが、それにしても…と思わざるを得ません。
 また、ボーナスも三万円だけ出たそうです。私の1カ月分も少ないのですが、パートの人でも、同じくらいの割合で出してほしいと思います。3万円というのは、月給のだいたい3分の1に過ぎません。同じように働いているのに、不公平だと思います。

受講したら、奉仕労働?

 私のいる会社は介護保険の指定業者となっていますが、そのための人員の要件があります。リストラで人数が減ってからは要件をギリギリ満たしている状態です。これでは急な退職や、だれかが入院で働けないなどの状態になったときに、必要な要件を満たさなくなってしまいます。
 そこで、「人員に少しは余裕を持たせるべきだ」と、私と上司とで社長に提案しました。パートの人にも「人員要件に必要」な資格を取ってもらうことを納得してもらいました。逆に言えば、社長は、そんなことも言わないと考えてくれません。
 提案した私としては、「資格を得るために必要な」約1カ月間、週2回の講習日には、パートの人に日給を払い、受講料も会社負担が当たり前だと思っていました。
 ところが、その話を聞いた社長は、パートの人が講習日に仕事を休む分、必要なときには土曜日に「奉仕」(無給!)で出勤させよう、と言い出しました。 上司が「それはおかしい」と社長に進言したにもかかわらず、「言いにくいならワシが言うから」と押し切って、パートの人に話をしたらしいのです。
 後で、パートの人から聞いたところでは、「社長にそう言われて、ムッときたけど、その場ではうまく言えずに『ハイ』と答えてしまった。でも、やっぱりおかしいと思う」ということでした。
 「でも、あんな社長なので言ってもムダだろうから、自分が折れて、納得できる範囲で社長にモノ申そうと思う。『講習で仕事を休む日は日給はいらない。その代わり、土曜日に働いた分はきちんと給料をくれ』と、言おうと思う」とのことでした。
 しかし、それではかえってもらえる給料が減ってしまいますし、会社の意向で講習を受けるのだから、給料をもらって当然です。私はパートの人に、講習日の給料はいらないと社長に言うのはやめてもらうように話しました。その上で、機会を見て、社長に改めてモノを言おうと考えているところです。
 それにしても、社長の「ケチケチ魂」にはあきれますし、腹が立ちます。サービス残業も問題ですが、ただでさえ労働条件の良くないパートの人に、さらにタダ働きさせようとは、よくもそんなことが言えたものだと思います。
 私としては、この問題をきっかけにして、少しずつですが、パートの人と働き方(働かされ方)について、お互いの考えを話すことができたのはよかったと思います。パートの人には、やはり、「自分は正社員ではないから」という遠慮や立場の弱さがあります。だんだんにですが、もっと労働者の権利のようなことも、話していければと思っています。


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