労働新聞 2004年6月5日号 通信・投稿

盛況だった2つの講演会

各層の連携が地域で実現

埼玉・関口 周介

 最近、私の住む市で2つの講演会が連続して開かれ、参加しました。
 一つは、小池清彦さん(新潟県加茂市長)のイラクへの自衛隊派兵を取り上げた講演会で、もう一つは、教育基本法「改正」に異議を唱える趣旨で、漫画家の石坂啓さんが講演しました。小池さんの講演会については、労働新聞5月25日号5面でも報道されていますので、ご承知かと思いますが、地元紙にも講演の中身が大きく報道されました。
 石坂さんの講演会は、彼女が中学生の母親という立場から、子供がこれから生きていく将来、社会に大きな不安と懸念をもっていることを訴えていました。「戦争の時代に入った」と感じた石坂さんは、米国のイラク攻撃に反対してハンストも行いました。
 小池さんと石坂さんの講演で共通していたことがいくつかありました。
 一つは、小泉政権が「国際貢献」とか理屈をつけて自衛隊をイラクに派兵したが、イラク国民は歓迎していない、むしろ米国の手先で敵であると考えているということでした。最近の日本人ジャーナリスト2人の犠牲は、日本人に対するイラクの人びとの感情をあらわしているのではないでしょうか。
 もう一つは、両氏とも「将来、徴兵制がやってくる」という点でした。石坂さんは「直接に『徴兵』という言葉ではなく、今ふうに『国際貢献ボランティア』というネーミングからソフトに始められるかもしれない」と指摘していました。
 両氏が共通して最後に強調したのは、「小泉政権とそれを取り巻く連中の狙いは憲法改悪だ」ということ。そして、これに向けたさまざまな政治反動や朝鮮民主主義人民共和国敵視のキャンペーンが行われていると指摘していました。
 2つの講演会に共通したことは(実は私はこのことに感心したのですが)、両方とも各界、各層の人びとが連携して行った点です。これまで県内、市内で催されるこのような取り組みで、いくつかの団体が連携するということはありませんでした。残念ながら、労働組合は既成の枠組みで、市民団体は独自の枠組みでというのが、これまでの実際でした。

 それが今回の2つの取り組みは、労働組合、市民団体、地方議員や学者・文化人らの人びとの協力と連携のもとで行われました。
 昨年の3月に米国がイラクを攻撃してから、県民や市民の間にはイライラやもやもやが募っていました。それが、自衛隊の派兵や人質事件での小泉政権の対応などで、頂点に達しているといっても過言ではないと思います。
 イラク攻撃以降、市内で行われた集会やデモには、これまでになくいくつもの団体や個人が参加しました。一日共闘だったこれらの運動が、2つの講演会では、何人もの人びとが呼びかけにこたえ、協力して取り組まれました。何度か会議が重ねられて進められ、宣伝も行われ、市民の関心を呼び起こしました。さまざまな立場の人たちが連携し、努力し、それが講演会の盛況にもつながったのです。
 小池さんは「小泉政権のもとでは国は亡びる。国民が一致団結してこれと闘わなくてはならない」と熱っぽく訴えていましたが、その通りだと思います。皆さん、これまでの繋がりにこだわらず、多くの人と連携して運動を広げましょう。
 「私にできることは何ですか?」。真剣に問いかける高校生もいるのです。


Copyright(C) Japan Labor Party 1996-2004