労働新聞 2004年5月15日号 通信・投稿
臭くてつらい便所作業
制度改悪で特勤手当も廃止
1年半ごとに配転命令
差別に耐えがんばる仲間
国労組合員・丸田 克美
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皆さん、お元気ですか。
私はこのごろやっと新しい仕事に慣れてきました。ここ数年、1年半くらいのスパンでクルクルと職種を変えられました。ドア検修→改造工事→機械箱などの清掃、草むしりと植木のせん定、機器箱のカバー洗い、床下機器のペンキ塗り、座席の張り替え→配管作業→便所・洗面所の検修です。国労組合員の多くは、だいたいこのパターンです。会社側の組合員は何年も、いや国鉄時代から同じ職種にいる人も多くいて、彼らは仕事をよく知っているので、班長や仕事のリーダーとなっています。
私たちは仕事が変わるたび、私より若い会社側の組合員に仕事を教えてもらっています。悔しいですが「ハイ」「わかりました」「ありがとう」と言っています。そして、仕事を覚え、彼らと同じ位置に就くころには「通常」の異動で、またも職種変えです。
しかし、多くの国労組合員は歯を食いしばってがんばっています。国労で60歳の定年を迎えることこそ、闘いなのです。
今、私は毎日、電車が入場してくるとまず、電車の便所・洗面所へ行き、水の出具合、水漏れ、詰まりなどがないかを検査し、そして便器をバラします。暑さと共に便器の臭いのには閉口しますし、ビスがさび付いて、なかなか便器がとれません。便器はバラして「洗い」に送ります。
先日、便器をバラして通路に置いていると、先輩が「汚いのですぐ車外に出すように!」と言いました。そうです。皆が嫌がる仕事です。だから、かつては特勤手当(便所手当)がついていましたが、制度の改悪で廃止されました。ゴールデンウィークを前にして、特急電車が連日入場し、そのうえ、寝台特急ときています。寝台特急は一両に便所が2つもついているので、いいかげんイヤになりました。
JRは人権感覚ゼロ
このような仕事をさせながら、会社は方針として、社員一人20万円もの「増収」を半期ごとの目標として押しつけてきています。「増収」とは、JRの切符やカード、企画商品を友人などにセールスすることです。会社は強制ではなく、あくまでも自主的なものといいますが、増収が上がらなければ「増収弁当」をすすめます。これはグループ会社の弁当を月一回ぐらい、職場単位で注文し昼食とするのです。また、年に1〜2回、「増収旅行」を企画し、参加を呼びかけています。参加者が少ないので、若い社員が半ば無理に参加させられています。
私は、この下期に参加しなかったところ、助役が「なぜ参加しないのですか。君だけだ」と言ったので、「仕事をクルクル変えられ、アホらしくて増収なんかできない」と言い、増収はゼロでした。
すると会社は、キッチリと職場の掲示板に「参加しなかった社員一人」と張り出しました。門前掲示版には赤線まで引いて、「残念ながら五人が不参加」と張り出しました。私は改めて思いました、JRに人権感覚なんてゼロなんだと。
職場の仲間は「丸田さんすごいな、がんばるな」と言ってくれます。会社は「国労はアカい」と言い、またそう思っています。私は一人で闘うのではなく、いろんなチャンスを生かし、他労組の組合員ともいっしょに闘っていきたいと思っています。
また、会社が仕事のマニュアルをつくらず、OJT(働きながら仕事を習得する)で仕事を覚えるように言うので、私は絵を描いたり、図を描いたりして作業マニュアルをつくり、次に配転された仲間に手渡しして、たいへん喜ばれています。しかし、本来会社がつくるべきものですので、交渉のつど会社を追及しています。
また、毎年何千人と退職していることや家賃が六倍に値上げされたことなども関連して、社宅がたくさん廃止されています。あちこちの社宅が空き家になっています。朝の出勤時も、かつてはあちこちの社宅から多くの社員が出てきていたのが、毎日が土日かと思うくらい、少なくなっています。路上には、家がなくて困っている人がたくさんいるのに、空き家が何百もあるという矛盾。変な社会です。
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