労働新聞 2004年4月15日号 通信・投稿

子供が保育園に就職したが…

厳しい保育士の労働条件

熊谷 幸夫

 わが子は、アルバイトをしながら3年間通った専門学校を卒業して、この四月から保育園に保育士として就職しました。決まった仕事がなく、二百万人以上もの若者がフリーターとして不安定な状態に置かれている現在、なんとか就職できてよかったなあと思いました。
 晴れがましいはずの新就職、でも、身分は一年契約の「非常勤職員」、わが子から見せてもらった契約書には、月給16万円、夏一時金5万円、冬一時金10万円と手書きされていました。わずかでもボーナスがあるだけでもいいほうですが、税金などいろいろ引かれれば手取りはわずかな給料です。保育士の労働条件は悪いと聞いていましたが、やはり厳しいなあと思います。
 これから、結婚や子育てなどを考えれば、とてもやっていけるような給料ではありません。さらにこれから増税が待ち構えていることを考えれば暗たんたる気持ちになります。
 「三つ子の魂百まで」といいますが、国の将来を担う子供のいちばん大事な幼時期の保育を担う専門教育を受けた労働者の給料がこんなものでいいのかと思います。昔の「子守り奉公」の延長ではないかというような低賃金です。
 賃金労働者の始まりです。それでも、自分で希望した仕事ですから、それなりにやりがいも感じながら勤めに出ています。
 最近ひんぱんに報道される幼児虐待などのケースはないようですが、それでも、園児の中には心配されるような子もいるようで「何日も風呂に入れてもらっていないようだよ」というような話も出ています。
 長時間労働、不規則勤務、不安定雇用など親にもいろいろな事情が押し寄せています。片方では、月額何万円も月謝を取るような私立の幼稚園や学校があります。同じ社会に生まれても、生まれたときから階級のらく印を押されて、育っていくのです。
 生活苦の中で自分の怒りや不満を子供にぶつける親、虐待や育児放棄で児童施設に預けられる子供たちも増えています。夜遅くまで幼児を連れた若い親たちをファミリーレストランなどで見かけますが、この子たちが大きくなったらどうなるのかなと、不安を感じます。


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