労働新聞 2004年3月25日号 青年

イラク戦争開始から1周年
京都・学生が街頭で世論調査

自衛隊派遣問題どう思う?
半数以上が反対の意思表明


思いを書き込む学生たち

 イラクへの自衛隊派兵が本格化する中、イラク戦争開戦1年目の前日、3月19日に「自衛隊派遣問題、もっと意見言わなあかんのちゃうん会!」の街頭行動が京都市の三条大橋付近の河川敷で行われた。
 イベントは、イラクへの自衛隊派遣について、「反対」「賛成」「どちらかというと反対」「どちらかというと賛成」という4つのゾーンに分けた大きな模造紙を敷き、自分に近い意見のところに、意見を書いた紙を張ってもらうという、世論調査的なもの。他にも、イラクを知るコーナーや、カフェコーナーが設けられていた。
 また、実行委員は着物を着て街頭に立ち、京都らしさをアピールして、たいへん目立った行動となった。
 このイベントの主催は、「ちゃうん会」。若者が社会問題に「〇〇ちゃうん?!」と疑問を持ち、世の中に意見を投げかけていく会で、京大、立命館大、龍谷大、京都精華大などの学生たちで結成された。
 このような行動をすることになったきっかけを、実行委員に聞くと、「自衛隊が日本からイラクへ派遣されてる今、私たちで何かできることはないかと話し合ってる中で、世の中の人が、これについてどんなふうに考えているのか知りたい、そして意見交換できるような場をつくりたいということになった」と話した。
 意見を書いてくれた人たちは、同世代の学生から、高校生、主婦、サラーリーマンやお年寄りまでさまざま。興味をもって橋の上からのぞき込む人たちもたくさんいた。実行委員は、集まった人たちに意見を聞いて回った。
 約五時間ほど意見を集め、全部で203枚の意見が集まった。結果は、派遣反対が半分以上を占めた。意見には、人を殺すことには反対、戦争反対、憲法九条を政府が侵している、日米同盟なんていらないなどで、賛成には、日米同盟を重視すべき、自衛隊は生活を保障されてるのだから行くべきなどがあった。
 イベントを終え、実行委員の坂達絵里さん(21歳)は「世論の関心を高めて、私たち自身の考えを深めることができた、とてもいい企画になった。今回聞けた意見をもっと多くの人に広めていきたい。そして私は、やっぱり自衛隊派兵はおかしいなと強く思ったし、今後もみんなともっと行動して、世の中を変えたいなと思う」と話した。


自衛隊派兵「異議あり!」
集会から私が得たもの

大学生 佐藤 詩織

 先月の15日、長崎県で「イラク派兵に異議あり 声をあげよう! 長崎集会」が開催されました。私は今回、そのイベントに「呼びかけ人」という形で参加しました。この紙面では、当日の集会の大まかな流れなどを中心に、話を進めたいと思います。
 集会は、歌・寸劇あり、舞台や客席からの発言ありで、とても充実した内容になっていました。当たり前のことですが、集会は言語を介していろいろな人たちがそれぞれの思いを主張する点に特徴があります。
 ただ、今回の長崎集会は、「イラク派兵に異議あり」の声をメロディーや劇というものを通して訴えた点に、これまでの集会とは一味違うものがあったのではないでしょうか。自分と100%もしくは40%類似した思いに接することは、程度の差はあれとても貴重なものです。呼びかけ人を代表して発言した方、イラクの医療現場の紹介を行なった方、インドのNGO(非政府組織)集会に参加した方、その他にも舞台や会場からの発言の中には、それぞれの「イラク派兵に異議あり」という思いが込められていました。その意味で、私も含めて会場を訪れた人びとは、さまざまな「異議あり」の声にふれることができたはずです。
 主催者側にいた私はこの集会を前述したようにとらえたのですが、集会参加者はどのようにとらえたのでしょうか。
 アンケートに残されているさまざまな人のメッセージで共通していることは、やはり「イラクに自衛隊が行くことには異議がある・反対だ」という見解です。しかし、アンケートに残されていたメッセージが参加者の心の中を正確にあらわしているとは断言できません。やはり自衛隊派遣に関して異議はあるが、その思いを持つことに対する不安などもあったと思います。
 集会当日、このような矛盾する気持ちを会場の中で素直に表現した人がいました。その人が発言した「イラク派兵には反対だが仕方がない」という思いは、私だけではなくいろいろな人が抱いてしまう可能性が高いものでしょう。それゆえ、それが強固なものへと変化するのをなんとしてでも防がなくてはなりません。なぜなら、「仕方がない」と諦めてしまう行為を多くの人が取ることによって築かれる社会は、危ういものだからです。
 社会を構成する個人が、社会の中で起こっているさまざまな問題に対して「異議あり!」などの声をあげていくことはとても重要なことです。個人レベルでの声が「よりよい社会」の源となる所以です。たとえ、自衛隊が派遣された今の状況であっても、それに合わせて自らがもっている思いを変えてはいけません。今ある状況に対してどのように立ち向かっていくか。私たち人間の強さが問われる問題です。諦めることは簡単であり、その手段を取ることが必要な時もあります。しかし、今の日本の進路に関していえば別問題です。米国追随で独自性がないわが国が、世界における主権を確立するために、今後も粘り強い活動を継続させる必要があります。「決して諦めてはいけない」。それが今回の集会で私が得た大きな収穫です。
 そして、その収穫は自分ひとりの力で得ることができたのではなく、集会を共につくりあげた人たちのおかげです。いろんな人がいるからこそ一つのものをつくり上げた時の達成感やそこから得たものは大きな力となり、そのエネルギーは新たなものを生み出す原動力となる。その意味で、今回の集会を通じて同じ学生とのあらたな広がりができたことをとてもうれしく思っています。
 今回の集会で獲得したものを今後の活動にしっかりと生かし、自衛隊派兵反対の世論を学生の中で高めていきたいと思います。


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