労働新聞 2004年2月15日号 通信・投稿
激しい嫌がらせにガマンも限界
プライドもって働いたが…
違法すれすれのあくどい経営
利用者の反発でトラブル増
介護施設職員 隅田 秋伸
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6年間勤めた職場を今月で退職することになった。
仕事は介護支援専門員で、介護保険制度が始まって以来、ずっとこの仕事をしてきた。
介護保険制度そのものが多くの問題を抱えてスタートし、今も問題が多い。しかし、職業人としてその制度の中で、地域の利用者の立場に立って、自分なりに一生懸命にやってきたつもりだし、利用者や地域の他の同業者からもそれなりに評価もされてきたと思う。
新規に参入する事業者も次々に出てきて、業界としては競争も激しくなっている。
今年の春から、施設長が変わって、経営方針が大きく変わり、これまでのやり方がことごとく否定され、利用者のことより金もうけを優先させるようになった。なるべく高い利用料を請求できるように、さまざまにサービスの設定を変えたり、違反すれすれのことまで平気でやらせるようになった。
そのことに対して、職場のほかの人たちも「これからどうなるのか?」と心配したり、反対の気持ちを持っていた。しかし、経営者に同調する者もいて、公然と異をとなえることができる雰囲気ではなかった。労働組合があるわけでなく、経営者と対立してもだれも守ってくれないので、言われるままに従うしかないのが実際だった。
このことによって利用者の間にも戸惑いと反発が生まれ、いろんなトラブルが増えるようになった。私なりに自分のしてきた仕事にプライドもあったし、何よりも利用者のことを考えるととても許せることではなかったので、職場の会議で、こうした方針に「反対」の意思を表明した。多くの職員がひそかに私を応援してくれたが、次第に嫌がらせが激しくなり、ついに、別の部署へ配置換えとなった。
仕事の引き継ぎも満足にさせないままの配置換えだった。ひどいやり方に不満をもったり、耐え切れなくなって辞める人が何人も出てきた。自分自身も憤りを感じながらも、悔しさもあり、意地もあって、半年以上もがんばってきたが、こんなところにしがみついていてもどうにもならないと思うようになった。
だが、子供の学費や生活のことを考えれば、転職すれば収入が減ることは目に見えており、迷いもあった。他の職場の労働条件などを見れば、年間で数十万円の減収となることは必至で、相当に苦しくなるだろうなと思った。また、最近の就職難を考えれば、次の職場が見つかるのかも不安だった。
しかし、今の職場にいては、ますます悪くなる職場の雰囲気で自分自身がいやになる毎日で、休みの日は何もやる気が起きない「うつ病」のような状態にまで落ち込んでいくのが自分でも分かった。
このままではいけないと思い、意を決して、退職することにした。それからは、気分は楽になったが、再就職ができるかどうかが問題だ。
* * *
職安で探したいくつかの職場をまわり、面接を受けているが、面接で示された条件は、案の定、賃金だけでなく、勤務時間や休日なども確実に悪くなりそうだ。少なくとも今の職場よりは職場環境は良くなりそうだが、これから何年働けるのか、それも分からない。
介護保険制度がある程度定着して、ケアマネージャーの転職も目立つようになってきた。あれこれ考えているが、まだどことも決められず、不安な気分のつづく年の始めだ。また、新しい職場で、果たしてやっていけるのか、とても不安でいっぱいだ。
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