労働新聞 2004年2月15日号 通信・投稿

朝鮮学校の公開授業を参観して
子供たちの心傷つける
反北朝鮮キャンペーン

政府は朝鮮学校差別をやめて

川崎市 松野 奈津

 最近の政府やマスコミの朝鮮民主主義人民共和国敵視キャンペーンは、あまりにもひどく、国民世論を操作しているように見えます。その結果、日本人による在日韓国・朝鮮人や朝鮮学校に通う子供たちへの嫌がらせや差別が続いていることは、同じ日本人として絶対に許せませんし、恥ずべきことだと思います。
 先日、川崎朝鮮初中級学校の特別公開授業が開かれましたので、初めて参加しました。地域住民たちに朝鮮学校を理解してもらいたいという、親たちの真剣な思いが伝わってくる企画でした。
 この学校には幼稚部、初級部、中級部があり、幼稚園生から中学校の子供たち約120人が学んでいます。学校は4階建ての校舎、体育館、運動場が整備されています。授業は朝鮮語で行われていましたが、教育内容は日本と同じような科目になっています。
 参観して驚いたことは、1クラスの人数の少なさです。少子化の影響もあるのでしょうが、少ないところでは1学年7人、多いところでも17人です。日本では今だに40人学級であり、その過密さに比べるとゆったりとしており、先生の目も子供たちに行き届いていました。
 授業参観では中学生の社会の授業が印象に残りました。テーマは「権利と社会保障」で、外国人登録証を教材にして授業が行われていました。先生が結論を押し付けるのではなく、自分たちの体験を通して考えさせるという形で、授業が進められていました。子供たちも気づいたことを活発に発言していました。
 また、国語では朝鮮語を、地理では朝鮮半島のことを勉強し、音楽では民族打楽器を学んでいました。朝鮮人としての民族性を伝え、民族の誇りを育てる教育が行われています。日本でも国語では日本語を教えますし、地理や歴史では日本をまず教えますので、何も特殊なことではなく、当たり前のことだともいえます。
 朝鮮学校は学校教育法1条に定める日本の小中高校などとは区別され、各種学校扱いとなっています。高級学校を卒業しても、国立大を受験する時の卒業資格が認められないほか、学校や児童・生徒への助成金も私学より少ないなどの「人権侵害」が今も存在していることは大きな問題です。少子化や不況の影響もあり、学校運営も厳しい状況です。
 公開授業の後で、新年祝賀会が開かれました。子供たちが歌や踊り、吹奏楽を披露してくれました。子供たちが歌った「世界に1つだけの花」は、子供たちからの日本人へのメッセージのように聞こえ、心を打たれました。子供たちも、最近の反北朝鮮キャンペーンに胸を痛めているに違いありません。差別や嫌がらせに悲しい思いをしているに違いありません。朝鮮学校の子供たちが、チマ・チョゴリで安心して学校に通える日本社会にしなければなりません。
 日本が軍事大国化の道を進むことと、朝鮮民主主義人民共和国への敵視や排外主義は1つの流れとして進んでいます。危険な方向に進みはじめた日本の政治を変えていくために私に何ができるでしょうか。子供たちの歌を聞きながら、考えさせられました。


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