労働新聞 2003年12月5日号 通信・投稿

私の給与明細書
残業手当の計算もデタラメ

派遣労働者 友部 孝夫

 私の本給は、1日当たり8000円で、11月は出勤日が22日あったので17万6000円となります。これに「職務手当て」という名目で1日あたり2000円が加算されています。これが入社したときの賃金条件でしたから、これは基本給になるはずです。明細上分かれていることについて最初の支払日に尋ねたところ、口頭ながら社長の次のような回答があったのを記憶しています。「あなたとの契約は1万円だが、わが社の基本日給が8000円なのでこのように表示した」。
 ほんの腰掛けのつもりで入社したので、書面での契約を交わしていないことが残念ですが、今後の交渉ではこのことを持ち出さざるを得ないこともあると思っています。この「基本給」に加え、専属手当てという名目で月額1万円が支払われます。これが私の所定時間内給与となっています。
 私は1953年生まれで、現在50歳。ヘルパーをしている妻と中学生の息子との三人暮らしですが、(妻との契約で)私の酒代を全て食い尽くしている生後1年3カ月になる猫のミーも私の扶養家族であることを勘定に入れれば、決して家計が楽でないことがご理解いただけると思います。
 さらに、控除の項目に社会保障費がないことにお気づきでしょう。この給料から国民健康保険料、国民年金保険料を支払わなくてはならないのです。個人事業者のためにつくられた国保・年金制度を利用させられているサラリーマンは急増していると聞きますが、私は7年前からその状態です。
 給与明細をよく見ると気づかれると思いますが、残業手当の計算がデタラメです。日給1万円で計算すると一時間当たり1250円で、25%の割り増しを掛けると1562円となり、11月は7時間残業をしたので1万938円になるはずです。実際に支払われているのは1時間あたり1200円ですから、日給8000円の計算でなおかつ5%もごまかしていることになります。さらに、ボーナスは入社以来1回だけ(年末に5万円、こりゃ餅代だね)年休は1日ももらったことがありません。
 私の職種は大手コンピュータメーカーの倉庫でフォークリフト運転手をしています。最近の情報として、コンピュータの部品を1カ所に集約しようという動きがあることを知りました。荷物といっしょに人員も引き取ってもらえるなら何とか納得のしようがありますが、集約先の倉庫は人員過剰で工場に応援に行っている状態だそうですから、私の仕事がなくなる可能性があります。
 私は派遣社員なので、この職場がなくなれば他の場所に移ることになります。現状でも多くの労働基準法違反を犯している会社ですのでから、今の労働条件でさえ維持できるかどうかは保証の限りではありません。とにかく、これ以上給料が下がったら生活ができないので、組合(個人加盟労組)と相談して闘っていきたいと考えています。

給与支払明細書(11月分)
出勤日数
22日
普通残業時間
7時間
 
【支給】
日給計 
176,000
職務手当
44,000
専属手当
10,000
残業手当
8,400
通勤手当(非)
18,140
総支給額 
256,540
 
【控除】
所得税 
4,550
差引支給額 
251,990

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