労働新聞 2003年11月25日号 通信・投稿

日給制に変わり月3万円減収
かけもち就労でくたくた

ゴルフ場労働者 仲本 和也

●印刷業廃業しゴルフ場に勤務

 ゴルフ場の管理の仕事をして6年半になります。
 それまでは親父の後を継いで、印鑑や名刺・ハガキ印刷の自営業を24、5年やっていました。当初は、やり切れないくらいの年賀状の仕事があったり、とてもよかったんです。でも、年賀状の印刷をみんなパソコンでつくるようになって、なかなか厳しい状況で、行き詰まって廃業しました。
 やめる3年ちょっと前に、パソコンで印刷できる機械を買って、巻き返しを狙ったのですが、これが計算違いでした。これが150万円くらいかかりました。借金と機械だけが残ってしまいました。
 次の仕事をどうしようかというときに、45歳で雇ってくれるところがあるか心配でしたが、たまたまゴルフ場の募集チラシを見て、応募して半年の試用期間の後、正社員として雇われることになりました。

●倒産が相次ぐゴルフ業界

 職場は20人で、男女半々。芝刈り、草刈、バンカーの整備、グリーンのピンを切ったりと、外の仕事はなんでもやっています。
 客の入りは、はじめの2年くらいはよかったんです。でもここのところ急激に悪くなってきました。平日は、駐車場数台分しか入っていない。いっぱいになるのは、1週間に1日くらいです。
 今年に入ってからは県内でゴルフ場会社の倒産が相次ぎました。バブルのころ、もうかると思ってどんどんつくられたわけですが、みんな設備投資分を回収できなくなっています。うちの会社でも先日の会議では、ゴルフ場だけではだめということで損害・生命保険の代理店を始めることにしたと、社長から話がありました。私の入社する数年前に9ホールから18ホールに拡大したこともあって、経営も厳しかったのでしょう。倒産も人ごとではありません。「明日はわが身」です。
 ボーナスもはじめのうちは、年2回、2カ月分40万円出ました。こんなにもらっていいのかというくらい出た。その後急激に悪くなって、今やボーナスゼロです。「家の新築ローンをボーナスで14万円払う予定でいたのに、ゼロになって困ってしまった。借り換えしなければいけない」という同僚もいます。
 月給もだんだん減っていったのですが、今年4月からは、会社の「経費節減」ということで、日給になってしまいました。月に実質3万円は減りました。日曜日は基本的に休みなのですが、グリーンは毎日管理しないといけないので交代で勤務しています。勤務表に名前を書き込むようになっていて、私はできるだけ仕事しなければやっていけないので、一目散に自分の名前を書きこんでいます。
 今は手取りで16〜17万円です。先月から、朝8時から夕方4時までのゴルフ場の仕事の後、夜6時から10時までの4時間、ディスカウントストアでアルバイトで働きだしました。1日終えるともうくたくたです。でも、こうでもしないと、印刷屋時代の機械代金などの借金などがあって、とても足りないのです。

●力を合わせて悪政変えよう

 景気が悪いのはなぜか、とふと考えます。みんながいちばん不安なのは老後の問題、将来への不安です。消費税をまた上げるなんていう話が出ていますが、税金上げる前に、政府がやるべきことはまだまだたくさんあります。税金の使い方が問題です。社会保障、医療福祉にもっと当てるべきです。そうすれば、みんな安心して個人消費も増えて、景気もよくなるでしょう。これがいちばんの解決法ではないでしょうか。
 イラク「復興」への資金提供なんてとんでもない。米軍の占領を助けるためにお金を出して、アラブの人から憎まれ、米国と心中する気か! 今の政治は悪い方向、危険な方向へ向っていると思います。
 自分はこれまで真面目に生きてきたつもりだけど、なぜこんな状況なのか、ギャンブルで金を使い込んだわけでもない。金持ちになろうと思っていない。普通の生活をおくりたいだけです。でも、今のところ、普通の生活すらできていない。「中流意識」というのも冗談じゃないと思う。ローン返済に追われて、どこが中流なんだ! 現実は違う。そういう人のほうが多いと思います。
 そういう人たちが、今は分断されていますが、力を合わせれば政治は絶対変えられると思う。本当の意味での、大多数の国民の味方の政治勢力が力をもてていません。そうした「力」の大連合を期待すると同時に、自分も加わっていきたいと思います。


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