労働新聞 2003年7月25日号 通信・投稿

カリキュラムの変更、教職員の解雇‥
学生も闘わざるをえない
大学改革問題で学習会

大学生 河 民子

 国立大学法人法が7月9日、参議院を通過し成立しました。これまで各地の大学職員や学生の反対の声を上げる闘いがあったにもかかわらず、それを無視する不当な結果です。
 労働青年団では、労働新聞に載った大学改革についての記事や声明文を読み合わせたり、各大学での変化のようすを報告したりして、この問題を議論してきました。
 99年から進められてきたこの改革によって、現場では校舎建て替えや、学生のたまり場だった自治スペースへの当局による攻撃、大幅なカリキュラム変更による職員の解雇などが表面化しています。
 そんな中、この時期だからこそ、大学改革について学習しようということで、開きました。私はこの学習会で初めてチューターをすることになりました。
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 この学習会の時点では、法案は衆議院を通過し、参議院で審議中でした。学習会では、まず大学改革はいつから国会で審議され、現在国会でどういう状況なのかについて、2つめに、この大学改革は大学をどう変えようとしているのか、3つめにこれによって大学はどうなるのか、4つめになぜ今大学改革が出されているのか、という流れで進めました。
 1つめの国会の動きでは、99年以降の流れを順に追っていきました。文科省は「国際競争に打ち勝つ、世界水準の大学を育成するための大学改革」といっていますが、それがいかにデタラメであり、この政策を押し進めていったのかを見ることができました。
 次のテーマである大学改革の内容については、重要な点として、国立大学を国の運営から切り離し独法化しようとしているということ、また国公私立大学を大幅に再編・統合し、トップ大学以外は切り捨て、ランク付けにより予算の重点配分などをし、1部の人間だけが優遇される政策だということを確認しました。
 この改革が小泉構造改革の重要な1つとされていますが、米国主導のグローバリズムの下で激化する国際競争に生き残りをかけた、支配層の焦りの表れであることは見え見えです。経団連の奥田がこの改革に口をはさんでいるのも、多国籍企業にとっての利益を守りたいがための手口です。
 国内全体を見れば、小泉改革の下で大多数の人が苦しめられています。同じように苦しめられている各層の人たちと連携し、闘う必要があると感じました。今、各地の大学は着々と変化しています。大学に通う多くの学生は不満を漏らしているし、これにこたえることが労青団に求められています。
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 今回初めてチューターをし、これまで学習を受けていた側から、人に話す立場に立ち、どう話せばいいか難しさを感じましたが、準備をしたりして自分自身勉強になったし、自分の中で整理がついて楽しかったです。
 そして、最近では私の通う大学でも、大学改革のあおりを受けた変化がたくさん見られます。去年から新しく学科がつくられ、今の1
回生はちょうどその1年目になります。カリキュラムも変わっていますがレポートなどの課題が毎週出されたりして半端じゃないそうです。
 またこの前期でなくなる講義がたくさんあり、それにともなって教職員も続々と辞めさせられています。その講義の中には学生に人気の授業もあり、かなりの反感をかっています。それに反対して署名を集める学生も出てきました。
 このごく1部の人間だけに有利な改革に対する闘いが、自然発生的に出てきています。これは学習会の感想の時に出てきましたが、企業の研究機関が学内につくられたりしていると話す同志もいました。明らかに産学協同の強化の現れです。
 この国立大学法人法案は通りましたが、このように強行されて、黙っているわけにはいきません。今後、続々と各地で大学がつぶれていったり、学生の意向にそわない授業に変わっていくでしょう。職員のリストラなど大多数の国民に犠牲が強いられるなら、こちらも闘わざるをえないと思います。


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