労働新聞 2003年7月15日号 通信・投稿

私の健康法(3)

片岡 健

坂道の大八車
 最後のパートシックスは、主として相撲をとり入れた足の運動。まず蹲踞(そんきょ)の姿勢から両手をゆっくり前に持ち上げ、掌(てのひら)を返して両腕を広げ、はずみをつけて拍手する「土俵入り」。両手を軽く膝(ひざ)においてしゃがむ動作を反復する膝の運動のあと、左右の脚を十分伸ばしてから、低い椅子に両手を付き、「坂道の大八車」よろしく交互に後足のアキレス腱を引っ張るように伸ばす。次に四股(しこ)を踏むまねをするのだがこれがいちばん難しい。テレビの横綱は美しいが自分でやろうとすると、似せようにも似つかない。ともあれ両手を膝にあてて股を開いた片足にゆっくり重心をのせて、もう一方の足を横に持ち上げる訓練を毎日試みている。四股の次は「仕切り」というわけで相手はいないが立ち会いの真似を8回ほど繰り返す。前についた両手にゆっくり体重を移動する姿勢はほとんどガマガエル、これが結構運動になる。

老化よさらば
 エンディングは、まず軽く柱につかまって片足ずつ空を蹴る仕草を繰り返し、その続きで足の捻転。それから濡れた水気を振り払うように両手を振り払う、それも体の外側に振り払ったら次は自分の臍(へそ)に向けて振り払い、ラストは指先を上に向けて左右にバイバイ、これをもって肉体の老化よさらばというわけ。若い人には信じられないかもしれないが、身体は動かしていないと、バイバイすらが自然体には動かせなくなる。
 立ち姿でのパートファイブ以降で約15分かかるので、全体で体操実働時間は45分というのが、毎朝の私の健康法の所要時間。
 健康法を長く続ける秘けつは、とにかく楽しんでやること、その人の体力と身体の調子に合わせて、あくまで自分流でやればよい。本稿の中で随所に出てくる主観的で非現実的な譬(たと)えも、ときどきの仕草のかたわら自分で思いついてニヤリとしたものを記述したまでである。
 日常テレビを何げなく見ながらも、自分の体操に応用できることはないかという観点をいつも持ち合わせることが大切。例えば背中の下のソバ殻の枕を少しずつ擦り下げていくアイディアも、元はといえば健康器具のコマーシャルがヒントになっている。そしていうまでもなく、継続は力なりとは何ごとに限らぬ普遍的な法則である。 (完)


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