労働新聞 2003年7月15日号 通信・投稿
汗だくで道具運ぶ毎日
俺たちもデモで要求したい
古いマンション空き室増加
管理会社も激しい競争
清掃パート労働者 梅原 俊男
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「馬に乗る人。乗せる人。そのまた、ワラジをつくる人」。こんな言葉を知っていますか? いろいろな仕事があるんだなーと感じるこのごろです。
俺の仕事は清掃屋で、職場のスタッフは7人。
女性・40歳代後半〜営業、事務、その他苦情処理と雑用。
男性・70歳〜体力の関係か週3日の勤務とだれかが休んだ時に勤める。中学を頭に3人の孫とパートの娘の5人家族。年金だけで暮らすことはできない。
男性・58歳〜現場の責任者。商売をやっていたが、景気が下火になった時にちょうど立ち退きの話があり、いくらかの蓄えができ、今の仕事を3年前からやっている。
男性・28歳〜現場責任者の代行を務める。独身、ここだけの稼ぎでは食っていけず、夜はピンクサロンのオネーさんを職場から家ヘ送っている。
男性・21歳〜結婚して子供1人。土日には何か別の仕事をしているらしいが…。
女性・20歳代前半〜週3日勤務。結婚しているが、リハビリを必要とする家族がいるらしい。
最後に俺。64歳〜勤務して1カ月。
仕事の内容は賃貸マンションの廊下、階段、周囲の庭、車庫の掃除。車で移動し1日に15、6カ所を仕上げる。仕事そのものはそれほどきつくはないが、古いマンションはエレベーターがなく、重い道具を担いで上がるのがキツイ。夏は、それだけで汗がほとばしる。雇用形態はあくまでもパート。労災その他の社会保険はない。それでも、だれかが辞めても補充はすぐできる。
知識不足も承知の上で、感想などを書いてみたい。
* * *
貸しビル・スーパーなどの清掃や警備は、ビル管理会社が一括して請け負う。天下り先として子会社をつくっている企業もある。管理会社は電気・警備などは専門会社に、ビルの窓・床などの清掃は下請けに出す。トイレや廊下などの毎日の掃除はビル管理の雑用部門で、トイレの数・廊下の面積などで「パート何人何時間」で一時間1000円で下請けに出す。集めるパートが5〜10人。時間があったら職安で掃除のパートの募集要項を見てほしい。時給800円くらいが多い。これでは下請け会社は交通費も払えない。
管理会社所有のマンションもあるが、大部分は土地のオーナーと契約し建物を建てマンションを管理し、賃貸料からオーナーに土地使用料を払う。このところの土地の値下がり、賃貸料の値下がりが続く中で、新規のマンションは増え続けている。
古いマンションでは空き部屋が出ている。競争社会は俺たちにも影響する。オーナーと管理会社の弱みは、空き部屋が増えれば管理費用が出ないということだ。つくり過ぎた喜劇だ。
余談だが、東京・日本橋の老舗の商店主が税金対策に建てたビルが、バブル崩壊後に空部屋が出て困っていると聞いたことを思い出した。その管理と清掃マンはどうなったのだろう。
グローバル経済と関係があるか否かは分からないが、こうまでして利潤と利便性を追求しなければならないのだろうか? スロー何とかという運動をテレビで見たことがある。老舗の味が消え、清掃マンがいなくなり、コンピュータがあぶく銭を増やし続ける。やはりこれは、おかしな社会だ。
日本橋の商店主のように清掃マンが団結してデモでもすれば、パート代を倍増することも可能かもしれない。これから管理会社はどうなるのか? 管理費用の値下げ競争でつぶれる会社は出てこないだろうか? スラム化したマンションが現れるかもしれない。
夢みたいな感想であるが、当人はまじめ。あなたはどう思いますか?
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