労働新聞 2003年7月5日号 通信・投稿

北朝鮮敵視、民族学校受験差別
政府のやり方は許せない
朝鮮学校見学会に参加して

京都・大学生 中島 百合

 先日、朝鮮中高級学校の見学会に行ってきました。主催は「日朝友好京都学生の会」です。この会は、京都の大学に通う日本人学生や在日韓国・朝鮮人が集まり、日朝の友好を築くことを目的に、在日の問題についての学習や、日本人学生との交流などをしています。
 イラク戦争が終わってから、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)をバッシングする報道が再び垂れ流されています。その中で、実際に朝鮮学校に行き、生徒たちと会い、朝鮮学校を自分の目で見て下さい、ということで呼びかけていました。ただ一般公開ではないため、呼びかけるにあたっては、知り合いの人だけにしてほしいということでした。
 朝、学校に到着して、まず目に入った校舎はとても古いなという印象を受けました。運動場も自分が行っていた高校の半分以下ぐらいで、小さな学校という感じでした。
 説明を受けて中に入り、授業をしているところを1時間ぐらい見て回りました。この日は授業参観日だったので、私たち以外にも学校に来ている人がいました。クラスは少なく、1、2年生で2クラス、3年生で3クラスでした。またコンピュータ室があったのですが、パソコンも古く、台数も少なくて2人で1台を使っていました。
 女の子の制服は通常チマ・チョゴリです。それを第1制服といい、第2制服はブラウスにスカートです。ほとんどの人がこの第2制服を着ていました。
 反北朝鮮の報道があおられる中で、通学時にチョゴリが切り裂かれる事件が多発しています。とても危険なので、学校側はこの第2制服を着ることを勧めているそうです。生徒たち自身も、学校に言われているからということではなく、この第2制服を選ばざるをえない状況だと思います。
 それでも、2人ぐらいチョゴリの制服を着ている人もいました。チマ・チョゴリを着て教えている先生もいて、とてもきれいでした。教室や廊下の掲示板には、ハングルで書かれた時間割やさまざまなものが張られています。
 見学後に3人の先生が来て、あいさつと質疑応答がありました。また、大学進学を目指している5人の生徒たちも参加してくれました。さまざまな質問が出ましたが、「差別を受けたことがありますか」というのもありました。それぞれ、「学校帰りにヤジを飛ばされた」、「チョゴリを着ている時、日本人の高校生がキモい(気持ち悪い)と聞こえるように言ってきた」などの体験が出されました。
 先生の話では、北朝鮮バッシングの報道が始まると、学校にも嫌がらせの電話が殺到するそうです。
 「この民族学校は、在日朝鮮人として育てる学校運営をしている。嫌がらせを受けなければならないことは何もしていない。民族学校受験差別の問題があるが、朝鮮学校をはじめとするほとんどの民族学校が『学校』として認められず、各種学校の扱いである。そのため、学校運営は父母からの寄付金などでまかなわなければならない。税金など日本国民と同じ義務を負わされているのに、本当に露骨な差別でしかない。皆さんにも、歴史の経過から何が本当かよく見て、この民族学校受験差別について積極的に取り組んでほしい」と話していました。
 私は今回初めて、朝鮮学校に行きました。大学受験差別などの政府の嫌がらせや、学校運営費もままならないと通っていた人たちから聞いていましたが、自分で見てみて、政府のやり方は許せないという気持ちが、さらに強まりました。
 核開発疑惑や、最近では万景峰号問題など、わが国政府はさまざまな形で北朝鮮敵視をあおっていますが、核兵器をいちばん大量に持っているのは米国です。その米国に追随している小泉政権に、私たち学生・青年は声を大にして、北朝鮮敵視と排外主義に反対する運動を盛り上げていきたいと思います。


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