労働新聞 2003年6月25日号 通信・投稿

「3日後にクビ」と怒鳴る係長
労基法違反の会社と交渉
解雇予告手当を払わせる

工場労働者 内山 和弘

 私は、5月25日号の労働新聞に、ワープロやコピー機の部品をつくっている工場のようすを載せてもらった内山です。その時私は、「がんばって働く」と書きましたが、5月28日にクビになりました。労働新聞が出てから、わずか3日後です。
 その日出勤すると、職場が何かざわついていました。突然、係長が飛んできて「お前は5月31日まででクビだ」と怒鳴りました。私は「どうしてですか」と聞きました。すると、「本社から不良品が返されてきた。お前がつくったやつだ。だからクビだ」と言うのです。確かに私がつくった製品ですが、入社したてでまだきちんと仕事ができなかった時のものです。私は「これからきちんとしますので、ここで働かせてください」と言いましたが、だめでした。
 私はこのことを失業者ネットワークの人に伝えたところ、労働党の人が心配して話を聞きに来てくれました。私がこと細かに説明すると、「それは一方的な解雇だ。会社とやりあってもよいが、もう一度同じ会社で働く気はありますか」と聞かれました。私は、これ以上いじめられるのもいやだったので、「もういいです」と言いました。
 すると労働党の人は、「それにしても、労基法に違反している」と言いました。私は何のことか分かりませんでしたが、会社が労働者を解雇する場合は1カ月前に言うか、そうでなければ1カ月の給与を解雇予告手当として補償しなければならないというのです。そして、いっしょに会社に行ってかけ合おうとなり、2人で会社に行きました。
 社長が出てきて、労働党の人が用件を言いました。すると社長は、「いやあ、内山君の方から辞めたいと言ったそうじゃないか。次の仕事も決まったからと」と、デタラメを言いました。私は「いや私は辞めたくなかった」と言って押し問答になりました。
 すると労働党の人が「じゃあ係長をここに呼んでください」と言いました。社長は「うーん」と言ったきりで返事をしません。もう一度「呼んでください」と言うと、しばらくしてから社長は「事実を確かめて返事をします」という答えでした。こちらは「きちんと法にのっとって処理をしてください」と念を押して別れました。
 結局は会社は、通告をした日から5月31日までの分を引いた解雇予告手当を私に振り込んできました。私も労働基準法など知りませんでしたが、会社も知らないか知っていても無視していたようです。私の前にも同じようなケースで辞めさせられた人が何人もいるからです。だから、会社もあわてたのだと思います。このことで、たぶん係長は油をしぼられたでしょう。ざまあみろと言いたいです。
 でも私はまた失業してしまいました。それから2件断られ、今やっとパン工場で働けそうですが、どうなるか分かりません。
 私は自分のことで頭がいっぱいですが、今度は大家から「ここを駐車場にしたいから立ち退いてくれ」と言われ、母が頭を抱えています。世の中いったいどうなっているんだろう。本当に腹が立ちます。


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