労働新聞 2003年5月25日号 通信・投稿

やっと就職!
だが、そこは奴隷工場

働きやすい職場にしたい

部品工場労働者 山内和弘

 私は、ワープロやコピー機の部品をつくる工場で働いています。
 ベルトコンベヤーで流れてくる部品のバリ(不要部分)をナイフで削ってきれいにし、それを段ボールに詰めていく仕事です。働き始めてまだ2カ月というか、やっと2カ月がたちました。というのも、働きだして4日目で会社を辞め、思い直してまた同じ会社で働いているからです。

「負けずにがんばる」

 勤務時間は夕方5時から深夜1時までですが、途中の食事時間を除いて立ちっぱなしで、足がつったり、腰が曲がったまま動かなくなるなど、とてもきつくて、それでいったん辞めました。でも、私は7年前に職を失ってからずっと仕事に就けず、失業したままでした。いろんな会社に行っても、学歴がどうの(私は中卒)、資格がどうのとかではねられ続けてきました。そのことを思い出し、「ここで辞めたら仕事がない。負けずにがんばる」と思い直して、会社に頼み込んでまた働きだしました。
 アルバイトで時給は1000円です。昼勤の女性はパートで時給が800円です。4月から5月にかけての連休は9日間もあったため、5月の給料はガタ減りです。これまで母親にも迷惑をかけてきたので、給料の半分は母親に渡しています。

ただ働きを強制される毎日

 がんばって働き続けようと思っている私ですが、それでも会社には相当頭にきています。ひとことで言えば、人間を人間として扱わない、まるで奴隷工場ということです。
 最近では仕事の流れにやっと追いつけるようになった私ですが、最初のころはコンベヤーの流れについていけません。そうすると、工場の責任者で、私よりも若い係長が飛んできて「何やってんだ、このうすのろ」と怒鳴りつけられました。初めは「慣れない自分にも責任があるかな」と思っていましたが、そうではありません。やっと1人前になれたかなと思っている今でも、「もっと早くやれ、もう5箱ぐらいは詰められるだろう」などと怒鳴りちらし、必ず「お前なんか首にするぞ」と脅します。これが、毎日のように繰り返されます。
 また、「お前なんか仕事が遅いんだから1時間早く出てこい」と強制されています。夜中の1時に仕事が終わってもすぐに帰れるわけではありません。掃除をさせられ、「あそこもやれ、ここもやれ」と、結局は1時間近くも掃除をさせられてから帰ります。その時間は給料が出るわけではありません。夕食時に食堂のテレビをつけただけでも怒鳴られます。
 私が働き始めたこの2カ月の間に10人ぐらいが辞めていきました。給料が安い上にちょっとしたことで怒鳴られる、ただ働きをさせられる、頭にこないほうがおかしいでしょう。

俺たちを人間として扱え!

 ある日私は、あまりにもカッときたので係長と言い合いました。「こっちは一生懸命やってんだ。ものの言い方があるだろう」と。その時は現場の主任がおさめてくれました。良かったのは、それをきっかけに主任と話す機会も多くなり、主任は私の仕事の面倒も見てくれるようになりました。
 主任との話で、みんな不満を持っているどころか頭にきていることが分かりました。また、20年以上も勤めている人がいて、この人が工場の中で力があることも分かりました。係長も、主任とこの人には文句を言えないそうです。
 そこで私は、これからは係長と直接やりあうのではなく、この2人を通じて思っていることを言おうと考えました。職場の他の人もそうすれば係長は困るでしょう。
 働きやすい工場にするために私の言いたいことは3つです。人間を人間として扱え、ただ働きをさせるな、新しく入った人に研修を行え、です。その前にみんなの給料を上げろをつけ加えさせていただきます。


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