労働新聞 2003年5月5日号 通信・投稿

帝国主義の
常套(じょうとう)手段にご用心

フセイン像引き倒しはヤラセ

柴田 昌也

 無法な戦争の後、イラクの軍事占領を続ける米国だが、今回も「ヤラセ映像」で世界世論を操っている。91年の湾岸戦争当時は、ありもしない「油まみれの水鳥」であり、いまさら驚くには当たらないのだが。
 それは、「フセイン銅像引き倒し」だ。これには、「ベルリンの壁の崩壊や、44年のパリの解放に匹敵する歴史的快挙」という米高官の言葉までおまけについた。わざわざ、イラク攻撃に最後まで抵抗したドイツ、フランスでの例を出しているのも、意味深ではある。
 さて、「引き倒し」だが、マスコミでは「広場に市民がおおぜい繰り出した」と報道されたが、実際にフセイン銅の周りにいるのは20〜30人に過ぎず、あとは外国のマスコミと米軍だったという。しかも、広場の周囲は米軍の戦車が包囲しており、他の市民から隔離すらしていたというのだ。
 しかも何と、フセイン銅像上で踊っているイラク人の中に、米国防省お抱えのイラク亡命者であるアーメド・チャルバイの側近が含まれている! チャルバイはその数日前、イラクに到着したばかりだった。
 このチャルバイなる人物は40年前にイラクから亡命したが、92年に隣国ヨルダンで数百億円規模の銀行犯罪を犯し、懲役22年の判決を受けている。しかし彼は英国に逃亡、その後はラムズフェルド米国防長官に取り入ったらしい。ちなみに、「コーラン」に「利子を取ってはならない」とあるぐらい、イスラム教は金銭にまつわる不正にことのほかうるさい。こんな奴が政権に座っても、国民が支持するはずはない。
 まさに、「フセイン銅像引き倒し」は「ヤラセ」だったわけだが、この映像のためにかり出された「サクラ」たちでさえ、米兵がサダム像の顔に星条旗をかぶせたときには、ブツブツと不平をもらしたという。
 戦車の外側にいた市民からは、「米国はメチャメチャになってしまえ」「ブッシュなんか××(放送禁止用語)」との罵声(ばせい)が飛びかったそうだが、これはアラビア語。英語で「ブッシュへの感謝」を語る「サクラ」の横にいるマスコミには、意味が分かるはずもない。
 思い返してみれば、こうしたことは、古今東西の帝国主義の常套手段だ。かつての日本帝国主義も、中国の南京「入城」の際、万歳を繰り返す中国人民の写真を発表したりしていた。その陰で行われていたのは、数十万人に及ぶ南京大虐殺だったわけだ。
 以上の情報は、私にとっては日課なのだが、インターネットであちこちの情報サイトをめぐっていて見つけたものだ。
 詳しくは下記のサイトへ。ただし英語。

http://www.informationclearinghouse.
info/article2842.htm


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