労働新聞 2003年3月15日号 通信・投稿

ブッシュのバカヤロー!
イラク攻撃で夏のボーナスなし!?
安売り競争のツケは社員に

旅行会社社員・藤元 貞道

 夢と希望を胸に大手の旅行社に入社してから、もう30年余りたちました。定年までの年月もあと数年。いろいろ考えさせられる昨今です。この30年余、世間皆そうでしょうが、旅行業界も様変わりしました。押し寄せる情報化の波、果てしない安売り競争の中で翻弄(ほんろう)される業界。そしてそのシワヨセは社員に、というお決まりパターン。
 私が入社したころはセールスなどに飛び回らなくても、カウンターにいるだけでお客さんが続々と来てくれるという、今では信じられない時代でした。旅行の情報、ノウハウを旅行社が握っていたからです。お客さんに少しでも良いメニューを提供するために働くという充実感もそれなりにありました。
 しかし急速な情報化によって状況は一変してしまいました。どうかすると仕事に追いまくられている社員より、多くの情報を持っているお客さんがいるという、カナシイ現実さえあります。情報化社会というのは人びとを幸せにすると言われていますが、私らにとってはちっとも幸せなんかじゃありません。
 果てしない安売り競争、これもひどいもんです。何なんでしょう。もう「仁義なき闘い」の世界。ごく一部の勝ち組だけ急成長していますが、自分で自分の首を絞めているようなものです。会社はそのシワヨセを社員にかぶせてきています。賃上げなし、ボーナスは半分に、そしてサービス残業の強要等々。この年末にはボーナスで家のローンを払えない仲間も出てきました。当然ながら、労組への突き上げも強まっています。
 最近の旅行のキーワードは、「アンキンタン」です。何かの薬の名前ではありません。(費用が)安い・(距離が)近い・(期間が)短かいということです。このひどい不況ですから、当然でしょうが…。旅行業界はその上、あの9・11テロの影響をもろに受けました。いまだに立ち直っていません。そんなさ中、ブッシュは何が何でもイラクを攻撃しようとしています。もし攻撃が強行されれば、ゴールデンウイークで何とか息をつこうとしているひん死状態の旅行業界を直撃するでしょう。戦争しているところに旅行に行く人などいません。旅行業界というのは、「平和産業」なのです。すでに中東はもちろん、ヨーロッパへの旅行も敬遠するお客さんが増えています。
 いま職場では、米国がイラク攻撃を強行したら、夏のボーナスはゼロになるのではと話されています。ブッシュのバカヤロー! イラク攻撃をやめろ!

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