労働新聞 2003年3月15日号 通信・投稿

朝鮮学校差別を許すな
緊急集会に参加して
政府への怒りが沸々とわく

京都・佐藤美樹

 文科省はこれまで国立大学への受験資格を認めていなかった外国人学校のうち、いわゆるインターナショナルスクールには資格を認める一方、朝鮮学校など民族学校には認めないという方針を出しています。
 このような差別政策に抗議するため、3月1日「許すな! 民族差別! ウリ学校卒業生の受験資格を求める3・1京都同胞緊急集会」が開催されました。
 私も日本人の一人として参加してきました。集会は緊急にもかかわらず、在日朝鮮人の父母会、高校生、大学生を中心に日本人も含め200人以上が参加、立ち見も出るほどで、ここからも問題の深刻さがうかがえます。

連帯のあいさつ相次ぐ

 はじめに主催者から、日本政府が行ってきた民族学校への差別政策の経過と今回の受験資格差別問題について説明されました。「受験資格は子供の進路選択の重要な問題。大学への資格問題は民族学校差別の象徴的問題。日本政府に屈せずに、これを突破口にして、広範な日本国民とともに闘おう」と訴えていました。 次に京都大学の駒込武教授は「今回の事件は国家権力によるチマチョゴリ切り裂き事件。国家公務員としてこれに加担してはならないと感じている。全国の大学職員に、文科省の差別に反対するアピールを呼びかける署名を準備している」と、連帯のあいさつを行いました。その後、父母会や民族教育を考える会などが、次々に連帯を訴えました。

政府の北朝鮮敵視政策
 
 現在、全国にいわゆるインターナショナルスクールは約20校、朝鮮学校は約90校、韓国学校、中華学校が約十校。生徒数は全体で約2万1000人で、このうち1万1000人が朝鮮学校に通っていて、圧倒的に朝鮮学校の生徒が多く、今回の文科省の方針は朝鮮人差別です。集会でアピールしていた朝鮮高等学校の生徒は「新聞報道で今回のことを知り衝撃を受けた。友人と自分の進路についてよく話す。国立大受験資格を得るため、クラブを抜けて大検を受ける友人もいる。共和国を非難する報道がひどいが、在日朝鮮人とは無関係。こういう時だからこそ、皆に話して反対していきたい」と話していました。
 そもそも今回、文科省が外国人学校に国立大への受験資格を認める検討を始めたきっかけは、財界からの要望だったといいます。それは「インターナショナルスクールの卒業生に入学資格が与えられないことが、海外企業の駐在員が家族といっしょに来日することへの障害になっている」というもの。本来、日本の差別政策を解消する観点から行われるべきものが実はそうではなく、財界の要請にこたえたものでしかなかったのです。
 一時、すべての外国人学校に認める方向も打ち出されたものの、自民党政治家や保守官僚の反発などで結論は出ていませんでした。それが、昨年9月17日の日朝首脳会談以降、拉致事件・核問題を口実としたわが国政府の異常なまでの北朝鮮敵視政策の中で、朝鮮学校は認めないという不当な扱いを引き起こしたのです。

日朝国交正常化こそ急務
 
 戦前の植民地支配、強制連行など日本は朝鮮民族に対し言葉に言い尽くせない屈辱を与えてきました。
 戦後はその反省に立つどころか、日米安保の下で南北分断を固定化し、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)を圧迫し続け、国内においては在日朝鮮人へのひどい差別政策…、とわが国は本当に許されないことを繰り返してきてしまったと思います。
 その根本が北朝鮮を敵視する米国への徹底的な従属にあるわけで、ここを変えて独自に国交正常化を実現することこそ今求められていると思います。

  ◇  ◇  ◇

 集会の最後に主催者から「きょう3月1日は、植民地下で朝鮮民衆が蜂起した3・1独立運動から84周年の日。今回の差別は、日本の反動勢力が共和国敵視を行っている背景がある。同胞にとって生命線である教育に不当にも介入している。21世紀の主人公たちが胸をはって生きていけるよう闘おう」と、非常に熱意のこもった訴えがありました。
 これを聞き私自身、わが国政府に対する怒りが沸々とわき起こってきました。日朝問題は国として、また日本人として今鋭く問われているし、改めてわが国の変革を強く感じさせられる集会でした。

Copyright(C) Japan Labor Party 1996-2003