労働新聞 2003年2月25日号 通信・投稿

労働条件の悪化は必至
労基法勉強し理論武装
不満だらけの介護報酬見直し

介護施設職員・池本 朝男

 読者の皆さん、こんにちは。いかがお過ごしでしょうか。私は、畑と住宅地に囲まれたベッドタウンにあるデイサービスセンターに勤務しています。
 医療・福祉の世界では近年、利用者負担増が目白押し。高齢者医療費の個人負担が一割になったり、サラリーマン健保も2割から3割へ引き上げられようとしています。
 また、介護保険の保険料も大幅に値上げされるのも時間の問題でしょう。小泉改革の大不況の中で失業率が上がり、銀行の貸しはがしが引き金となり、たくさんの中小商工業者が倒産に追い込まれています。日常生活はひっぱくしています。これらの「痛み」にはもう耐えられないところにきているのではないでしょうか。
 そんな中、職場が大騒ぎとなる事態が新聞報道されました。それは、介護保険の介護報酬が見直され、四月から実施されるというニュースでした。かけ声は「在宅重視」の下、改定が進められたようすですが、細かく見れば、事業者、利用者、職員ともに不満だらけの内容であることが明白になりました。
 報酬が増額されたヘルパー派遣。今までは家事援助一時間半未満で2220円でしたが、新単価は2910円となります。限度額の引き上げがないため、今までギリギリまでサービスを組んでいると保険外負担が発生したり、もしくはサービス量を減らさなければならなくなります。その上単価が上がったので、一割負担分も増加。これが在宅重視でしょうか。
 私の勤めるデイサービスを見ると、ことごとく単価の切り下げが行われました。どこもギリギリのラインで経営を行っている事務所が多く、経営を圧迫することは必至です。このことは、すぐにそこに働く職員へとはね返ります。最近では、職場では配転か賃下げが行われるのでは? と、職員の間で不安感が広がっています。それぞれ生活を抱えているわけで、配転、賃下げは死活問題です。
 最近では、身にふりかかる問題に対処するために、福祉制度の勉強会に加え、労働条件の切り捨てに対して理論武装するため、労基法の勉強会をしようという話も出ています。
 各地で生活を守る闘いが起きています。私たちの職場でも、小さな声が実を結んで大きなうねりになるよう、団結を強めてがんばっていきたいと思います。


Copyright(C) Japan Labor Party 1996-2003