労働新聞 2003年2月25日号 通信・投稿

遠方より連帯をこめて
未組織労働者は労組結成し闘うことが必要

鳴海 陽介

 私も労働組合の役員をやっているので、未組織職場の苦労はよく分かります。労働新聞2月5日号の通信記事「労働者をなめたらあかんで!」は福祉職場のようすがよく伝わってきますが、気がかりな点もあるので、感じたままを書いてみます。
 松永さんは「働く者はまとまることが大事…問題が起るたびに、連絡を取っていた」が「経営者に意見をぶつけても、いっこうに事態が変わらない」ことに直面した時に、何を考えたのですか。文面からは、有能なリーダーとしてがんばっていたようすが伝わってきますが、労働組合の結成は考えなかったのですか。経験もなかったのでしょうか?
 経験がない人を責めることはできません。しかし、どんな会社であれ黙って労働者の意見を聞き入れる経営者がいるでしょうか。労使が「対等」に話し合うためには労働組合を結成し闘うことが必要なのです。なぜこの問題を避けたのでしょう。問題の根本はここにあると思いますが、松永さんはどう思いますか。
 「社長は話が分かるが、施設長が悪い」と言いますが、この点もどうでしょうか。真の敵を見誤まってはいませんか。中小企業の職場ではよくありがちなことで、目の前の悪質な職制に「憎しみが集中」しがちですが、だまされてはいけません。すべての権限は社長が握っているのです。しょせん、経営者はもうかればよいので、労働者や入所者のことなどはどうでもよいのです。一度は辞めさせた施設長を呼び戻したのは、その現われではないでしょうか。
 さらに問題なのは、「労働者をなめたらあかんで!」と言って、全員で辞めることで一致したようですが、これは掛け声は勇ましいが「負け犬の遠吼(ぼ)え」ではありませんか。
 そして、「見通しもない」とも言いますが、労働者が団結して闘わないで「見通しのある職場」など、どこかにあるのでしょうか。現実にはこの点がなかなか難しいことは私にも分かりますが、これを避けていては何も解決しないのです。難しくとも、やり甲斐のある仕事ではないでしょうか。
 「痛い目にあわないと変わらない」と言っても、痛い目にあっているのは「自己都合」で辞めたので失業保険が三カ月も待たされる仲間ではないですか。大失業時代なので募集すれば労働者が殺到するこんにち、経営者にとって今度のてん末は痛くもかゆくもないことではないでしょうか。
 今後も話し合いの場を継続しているようですが「施設長へのグチ」だけで連帯感は生まれないことに注意してください。「緩やか」などと言わず、共に苦労した仲間に「地域労組」を働きかけたらどうでしょうか。「労働者をなめたらあかんで!」まさに意義ナシ! です。この言葉を資本家どもに思い知らせたいと思います。
 私も地域労組の一員ですが、「職場と地域に労働者の生活と権利を守る砦(とりで)を!」という合言葉を胸に今日も忙しい毎日です。


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