労働新聞 2003年2月25日号 通信・投稿

教員はぜいたくか
時間外労働は当たり前
職場離れても仕事に拘束

教員・田口 弘子

 学校が5日制になって一年が過ぎようとしている。現場の率直な感想としては「忙しい」「余裕がない」だ。 5日制に対応するために内容は削減されたはずなのに、「授業時数が足りない」と管理職(校長・教頭)に言われて毎日六時間目まで授業している上におもしろい行事も減って楽しみが減った。また連日の新聞報道は「内容が減ったから」と言って学力低下を危ぶむものになっている。それを目にする保護者は公教育に不安を抱く。管理職は親への説明のためにと書類づくりに躍起になる。そのとばっちりは私たち教員にかかってきて、事務が増える。
 教職員にとって時間外労働はごく当たり前の現状である。労働者としてそこを申し上げれば、「一般の企業ではもっと大変」との答えが返ってくる。どこも厳しいのだから優遇されている教職員は何をぜいたくなことを言うか、というところなのだろう。本当に教職員は優遇されているのだろうか。勤務時間内に教材研究をしたり事務をとったりする時間は五日制になってからなくなってしまった。勤務地を離れても仕事と自分の時間とを区別しにくく、いつも拘束されている感じがしているのだ。
 また遠くなった勤務地。広域の人事が一般化して三十分以上の通勤時間が当たり前になってきている。一方で地域との連携とか言いながら、学校の中に地域のことに精通した地元の教員がほとんどいないという現状でいったい私たちにどうしろっていうんですか。教職員の流産率は今でも高いんですよ。
 ほとんど大多数の教員は、少しでも教育効果を上げようと身をけずっている。そのうち思考を停止して管理職の言うことだけ聞いて、気がついたら再び教え子を戦場に送ってしまうことになっていたというんじゃ、こわいなあ。


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