労働新聞 2002年10月25日号 通信・投稿
競争主義、効率主義…
法人化で将来が不安
組合強化の絶好のチャンス
国立大学職員 前橋 美千代
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小泉内閣の行政改革はさまざまな分野に及び、多くの弱者が切り捨てられようとしています。私は地方国立大学で働いていますが、ここでも「教育改革」の名のもとに、競争主義、効率主義が声高に叫ばれ、職場は仕事の膨大さと将来の不安から、重苦しい雰囲気になっています。
国立大学協会が文部省の方針(2004年度独立行政法人化、非公務員型)を容認した後の職場は、これまでの通常業務のほか、それに向けた準備の業務が課せられ、法人化後の自分の身分に不安をもちながら、皆追われるように仕事をしています。
私たちはいろいろな仕事をしていますが、土日出勤をしても出勤手当もなく、代休も取れない状況です。帳簿上は代休を取ることになっていますが、仕事がたまってしまうので、ほとんどの人は取っていません。本当に皆、過労気味です。
労働組合はありますが、これまでは組織率が10%程度で、活動も活発ではありませんでした。でも、この職場の状況、法人化に対する不安をなんとかしようと、組合で話し合ってみました。組合参加を呼びかければ、不安や不満を抱えた多くの人が応じてくれるのではないかとの議論をしました。
また、「国立大学法人化」の問題点の学習会も何度か行ってみました。そんな中で、自分の雇用や労働条件を守るのは組合しかないはず、今こそ組合を強くする絶好のチャンス、職場の皆に訴えてみようということになりました。
労組への期待が高まる
職場の人が不満や不安を訴える場も設けようと計画中です。そして現在、加入呼びかけのビラをつくり、加入を職場の人に訴えています。まだ、ビラを配ったばかりで直接、多くの人に声かけができていませんが、声をかけた数人の人は「入る」「考えてみる」と、皆前向きでした。
他の国立大学の組合では、国立大学法人化にかんするアンケートを行っていました。法人化についての賛否の結果では、反対とどちらかというと反対の「反対派」が55%、どちらかというと賛成の「容認派」が21%、わからない、その他が24%と、反対派が過半数を占めている結果が出されています。
皆、法人化には反対なのです。また、「非公務員型」身分になったら、自分の労働条件を守るためにどう対処しますかとの問いには、「労働組合に加入する」が六四%で、労働組合に期待する結果が出ています。この回答者のうち51%が現在非組合員であるとのことです。
多くの働く人が組合に期待していることが分かります。職場の過重労働、重苦しい雰囲気を跳ね返すために、働く人の権利を守れるような組合運動をめざしていきたいと強く思うこのごろです。
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