20020825

農民と連帯し安全な食料確保を
東北農村を訪ねて

東京・松本 和美


 雪印、日本ハム、中国野菜……私たちが毎日食べている食品について、不安をかきたてられる事件が続いています。BSE(狂牛病)をきっかけにして、農水省のいい加減さ、食品行政のずさんさが明らかになりました。
 私たちの食生活がいかに危険な状況に直面しているのか、実感させられる毎日です。食品添加物についても規制がどんどん緩められ、輸入食品が安い値段で市場に出回っています。
 私たち消費者が安全な食品を手に入れるためには、食品の流通経過も含めてはっきりとした追跡ができるようなシステムが必要です。
 最近、農業生産者との交流会に参加する機会がありました。東北の農村に出かけると、緑の棚田が私たちを出迎えてくれます。ほっとするような、なつかしい風景です。
 交流会では、減農薬、減化学肥料に取り組む生産者との交流と、農業施設や田んぼを実際に見学する取り組みが行われました。
 生産者たちは、消費者と生産者が離れてしまうことに、たいへん危機感を感じています。「減農薬を消費者に理解してもらえるのか不安だ」という声も聞かれました。
 まだまだ農家の中でも、減農薬や減化学肥料に対する認識は十分ではなく、本格的に取り組もうとする農家については、「モノ好き」とのレッテルが張られるのが現実だそうです。
 そうした現実を変えて、消費者に安全な食料を提供しようとする農家がいることに、希望を感じます。JAぐるみで減農薬、減化学肥料の取り組みを進めようとしている地域も出はじめているという話でした。地方に行くと、JAの存在の大きさに驚かされます。やはり、JA自身が消費者と結びつく努力を追求することが必要だと感じました。
 生産者との交流の中では、高齢化と後継者不足が深刻な悩みであることが出されました。有機農業をやりたくても、田んぼにたい肥を入れる作業はたいへんな労働で、とりわけ高齢者にはきつい作業となっています。
 また、有機農業をやるためのたい肥工場の建設、循環型農業のための畜産の糞尿処理なども、個人では解決できない問題で、行政の支援が必要です。
 無農薬米の実験田も見学しました。慣行栽培では10アールあたり9俵獲れるところが、ここでは7俵しか獲れないということで、そのたいへんさがよく分かります。
 今回、産地を訪問したことで、安全な農産物を手に入れるには、農業生産者との連携が重要で、農業者も消費者との連携を切実に望んでいるということを感じました。