20020725

町づくりのつどいに参加して
庶民のネットワーク広げよう

福岡県大牟田市 原口 静夫


 大牟田市で6月22日に開かれた、02年連続講座「どうする大牟田 街づくりを考えるつどい−食と農の安全性を考える」集会に参加した。
 講師は福岡中央会教育センター長・高武孝充さん、有機農法に取り組んでいる山下公一さん、そして10数年間町で朝市を続けている中原英子さんの3者で、「グローバル化にひそむ食の危険と地産地消運動」をテーマに、それぞれの立場からの報告があった。
 3者からは、重要なことであるが日頃忘れて気づいていない食と農業のかかわり合いを、国際的視野と身近な食卓の問題−米と野菜に結びつけて、興味深く提起された。
 減反や自給率、農政全般、農協のあり方、有機農法の技術のことなどに質問、意見が多く出され、活気ある集会になった。今、農業(漁業も)をめぐる環境はきわめて深刻だと感じた。
 集会後、さっそく農協や女性団体で、高武さんを迎えての学習会が計画され、この問題も広がりを見せている。
 また、参加してみて、農業に対する市民の関心の高さに改めて驚いた。そして給食食材の地元供給が数パーセントしかないという例1つをとっても、政治や行政が農業や市民の健康や食、次の世代を担う子供たちのことを真剣に考えているのか、ほんとうに疑問に思えた。
 強い者には弱く、弱い者には強い政治。きれいごとの市民サービス、おざなりと建前で市民を追い込んでいる行政。天下り市長は人柄はいいが、何もしないと与党の中にも不満が吹き出ている。鈴木宗男や長野県知事問題にもあるように、利権とカネに中央から地方まで侵されていることに、怒りがわいてくる。
 工業都市大牟田でも町をちょっと外れるとホタルも見られ、青々とした山や田があり、緑に囲まれている。
大都会以外、どこもそうである。その緑が、新幹線工事、大型量販店、だれも来ない工業団地で破壊され、そしてペンペン草が生え、商店街はシャッター通りとなった。農地は跡継ぎがなくなり、しかたなく宅地に変えられていく。
 ここ大牟田市でも、農業と商業は文字通り「風前の灯(ともしび)」の感があり、不安は募る。
 しかしあまりカネにはならないが、毎日、地元でコツコツ努力している生産者や商人、消費者がたくさんいる。
 となりの一人暮らしの老婦人は、生ゴミは小さな庭に埋めて一切出さない。ゴミを減らし、ゴミ収集の2回のうち1回しか出さないという。特に何かの研修会に行っているわけでもないのにと、いつも感心させられている。
 最近、商店街と農協婦人部が農と商の交流を目的にした「アグリの会」を発足したそうだ。こんな庶民の工夫や知恵が行政には届かない。そして、頭では分かっているが、食の安全性など「ぜいたく」にしか映らない厳しい生活に日々追われている人びとがいる。
 こういった庶民を押しつぶし、生活を切り捨て無視していく力をはっきりさせていく横のネットワークを広げなくてはどうしようもないと思う。
 この6月22日の集会には、広範な国民連合の会員も多くかかわっている。市民の中に、問題は自分のところだけではないという意識が徐々に明らかになっていきているのではないか。今後もこの動きを大事にしていきたい。