20020625

この夏、再び愛媛が熱くなる――教科書闘争続報

新しい教科書と教育を考える市民ネットワーク・えひめ 武田 正光


 昨年の中学校教科書採択で、「つくる会」の歴史教科書は全国で採択率0.039%と、一応採択阻止運動の成果があったと総括されています。ですが愛媛では、東京と並び県立養護学校、ろう学校に持ち込まれてしまいました。昨年の8月には連日、大勢の市民、県民が県教委へ抗議し、釈明を求めて県庁に詰めかけました。
 実際に教育現場に「つくる会」の歴史教科書が持ち込まれるのは4月からということで昨年9月からは、採択撤回を求める署名を広く県内外に呼びかけて取り組み、最終的には3万4000人余の署名が集まりました。しかし、3月の教育委員会では、請願署名を一蹴(いっしゅう)し、「つくる会」歴史教科書の採択を撤回しなかったのです。
 愛媛県では、来年度から県内で3校の中高一貫校が開校されます。そこで使われる教科書の採択が今年の8月末までに行われるのです。すでに5月中旬、加戸愛媛県知事は、「昨年と同じ教科書が県教委で採択された場合、報道のされ方にもよるが、中国、韓国との関係が異常な事態になるかもしれない。しかし『つくる会』主導の中学歴史教科書(扶桑社版)採択を外国の批判で取り下げるようでは、主権国家とはいえない」と述べ、今後も教科書採択が「県政最大の課題」との認識を示しました(5月12日付愛媛新聞)。
 昨年の、県立養護、ろう学校への「つくる会」教科書の採択が、今年の県立、中高一貫校への採択の布石であったことがよりいっそう、明らかになってきました。
 いうまでもなく教科書問題が有事法制と並んで「戦争のできる国」へと国民を総動員する精神的、思想的攻撃であることは明らかです。「一旦緩急在れば、義勇公に奉じ」という教育勅語の役割を復活させる教育、青少年を「戦争へ駆り立てる」教育を許すわけにはゆきません。右派勢力は「愛媛を突破口に教育の流れを大きく変えたいと願っている」のです。「つくる会」は、「愛媛県教委支持」の全国署名を愛媛20万人、全国で30万人を目標に取り組んでいるということです。
 私たちは、なんとしても「つくる会」教科書の採択を阻止したい、そのため、会議を重ね、いろいろと知恵を絞っています。知事、県教委を相手取った「教科書裁判」の提訴を準備しています。講演会や学習会も取り組んでいます。また、「愛媛の教育行政と教育委員会を問うシンポジウム」も準備しています。さらに、「有事法反対6・ 14大集会」で示された県民のエネルギーに依拠し、広範な市民、県民に働きかけ、大衆的な反撃を準備しています。私たちは闘い抜きます。全国の皆さんよろしくご支援ください。