20020605

現場の声聞かぬ組合幹部
役員の活動場所は居酒屋!?

全逓組合員 吉田 和男


 隣の地区の総分会の仲間と話していたら、彼の総分会で今年4月、人事交流という名の人事異動があって、トップの総分会長と執行委員と分会長が、それぞれ昇格(出世)していなくなったということだ。それ以来いまも組合役員不在の状態だという。
 「それじゃ組織運営が大変だろう」と聞くと、彼は「いや、何も変わらないよ。役員は組合事務室の中と居酒屋でしか活動していないし、現場で問題が起こっていても何もしないし、例えば、人員削減の話が出ても何の情報も伝えない。また組合員の多くも、だれが役員なんだか気にしていないもの」と言った。「そうか、それなら支障がなくてよかったじゃないか」と言ったのだが、ん 、なんだこの話は、と互いに大笑いしてしまった。

組合員は「けなげ」?
 昔の全逓は、組合役員を配転しようものなら、不当労働行為ということで大問題となった。第2組合の役員は当然のように配転していき、俺たちは「それみろ、御用組合の正体はこれだ、君ら(第2組合の諸君)は役員の出世のために利用されているのだ」と言ってきたものだが、今では、自分の組合にその言葉が跳ね返ってきている。
 支部大会の議案書にも、組合役員が出世して転勤するのは「組合の力が認められた証(あかし)である」と書かれたりする。
 いったい何の証なのか。このことで皆と話をすると、「役員は当局には逆らいません。当局の代わりに組合員を管理しました、というご褒美なのさ」という結論になる。
 こんな有り様だから、中央本部や役員に対する信頼はないに等しい。しかし、だからといってほとんどが組合を辞めることなく、毎月数千円の組合費を納めている。思わず「俺たちってけなげだよなぁ」と、また話題になる。

幹部不信は募るばかり
 これは、組合への不満はかなりあるが、まだ爆発するまでになっていないということだ。しかし、これは必ず爆発する。
 公社化が来年と迫ってきたが、これまで労使協調の下で、現場の俺たちは当局・管理者に「民営化阻止」を口実に散々痛い目にあわされてきた。ノルマを果たすために自腹を切ることを強要され、髪の毛がちょいと長いだけで「指導」が入り、下着の色まで文句を言われ、これに反論すれば「暴言」ということになり処分をちらつかせる。
 組合役員にこれを訴えると、役員が「労使協調だから現場でもめないでくれ」と取り合わない始末。やり場のない怒りはどこへ行くのか。当面は、酒やギャンブルかもしれないが、組合員は少しずつ気づき始めている。
 「俺たちがどんなに反対しても中央本部が同意しているから、当局は現場の意見は聞かないよなぁ」「組合っていうのは俺たちの組織なのに何で俺たちの意見を聞かないんだ」「中央の役員はだれの金で飯食ってんだ」「管理者とゴルフをやり、いっしょに飲み食いしていれば偉くなった気になるんだろうよ」など。こんなことが休憩室で話になっている。
 そう、当局・管理者の高圧的な態度と管理強化、合理化や労働条件の切り下げなどの裏には、自分の組合の中央本部や組合役員がこれを容認していることにとっくに気づいているのだ。そして、敵=当局と闘うためには、中央本部や地方本部、現場の当局寄りの役員を打倒しなければ闘いきれないことに気づき始めているのだ。しかし、これを認めることは自分の組合を否定することになるから、言えない気持ちなのだろうと思う。
 こう考えれば、労働者として息の根が止まるまで、俺のやることはまだまだたくさんありそうだ。本当に息の根が止まるまでやってやろうじゃないの、ネ!
 これを読んだ全国の全逓組合員の皆さん、いや郵便局で働く皆さん、もっと多くの情報をこの新聞に寄せて下さい。
 俺も読者でしかないけれども、これを通じて情報交換ができたら、もっといいことができそうに思います。